小学校の夏休みは、子どもたちがとてもとても楽しみにしている一年間で一番活動的で魅力的な休みです。しかし、家庭学習はたくさんあり、子どもたちの悩みの種です。さらに、家庭での学習なので、教えるのは保護者の皆様がほとんど。学校の先生のようにいろいろわかっている状態ではないので、家庭の指導も大変です。
さて、その中で最も大きな課題が夏休みの自由研究です。
この自由研究をなんとか実施し、模造紙や工作用紙にまとめるのがなかなか大変なことです。しかし、準備を休み前にやってしまえば、それほど苦労せずにやり遂げることができます。
大事なことは、休み前に時間をとって指導し、準備させることにあります。
小学校夏休みの自由研究の準備とまとめ方を以下に紹介します。これで、子ども親も少しずつ無理なく準備ができ、教師は見通しをもって取り組むことができると思います。
小学校の夏休み自由研究は、休み前から取り組ませます
夏休み自由研究は、家庭任せはNG
夏休みの自由研究は家庭も子どもも頭を悩ます課題の一つです。一か月もあるのだから、家庭に任せて、頑張ってもらおうなんてのは、NGです。
学校の役割としては、夏休みの課題を出すのだから、責任持ちましょう。休み明けには、子どもなりに自分の研究をみんなに見せるのですから、少なからず緊張します。出来栄えは見ればすぐにわかります。きちんと書いていない自由研究のまとめはとても恥ずかしい気持ちになります。
どんなにいい研究をしても、はっきり言って、まとめ方が悪ければその研究のよいところを伝えられないのです。つまり、以下にプレゼンをするかということが大事です。
まとめ方は、以下のまとめ方に沿って書いていけば、見事な?研究ができます!(笑)
夏休み自由研究は、まとめ方が重要
夏休み自由研究は何をするかは大事ですが、もっと大事なのは、どんなふうに書いてまとめるのかというまとめ方がとても大事です。(悪く言えば、中身より見栄えが大事。もちろん、見栄えをよくするには材料はたくさんあったほうがいいのですが)
親も参観日で見に来ることもあるでしょう。家庭の指導も夏休み自由研究のまとめには少なからず現れるのでそのあたりも気にされるご家庭もあるでしょう。
本当に大事なことは、夏休みの時間を有効に使って研究することです。しかしながら、夏休み自由研究はそのまとめ方に多くの労力をかけることになります。そこが子どもにとっても、家庭にとっても大変なことなのです。
この夏休み自由研究は当然のことでありますが、やればいいだけではなく、まとめ方がよくわからないという子どもが多いです。また、実験などで一日で終わらせることもできますが、そのまとめ方にかなり時間がかかります。
また、夏休み自由研究を一日でやってしまっているものは多くありますが、どちらかと言えば内容は薄く、材料となる資料は少なく、かえってまとめにくいということもあります。
夏休み自由研究は、子どもがやりたいことをやる
子どもがやる気をもって取り組むことに意味があります。
些細なことでも、子どもが自分からやって経験したことはわすれません。そして、自ら課題をもって追及していくことが本当の意味での学習です。
ですから、やってみたいことをやるのが夏休み自由研究の価値でしょう。
子どもがやりたいことを夏休みだからできるということにつながります。いつもできないけど、夏休みだからというのも大きな要素です。
その意味のある夏休み自由研究になるように指導していくことが教師の役目です。
そのための手立てを紹介します。子どもと親が共に夏休み前にちょっとずつ準備をして、この難題を乗り越えることができるでしょう。
夏休み前は成績処理や一学期のまとめで忙しい時期ですが、夏休み自由研究を時間をとって準備していけば、余裕をもって取り組めます。では、その準備についてみていきましょう。
小学校夏休み自由研究の事前指導
夏休み自由研究の事前指導は、6月末あたりから始めます。もっと早くてもいいと思いますが、子どもたちの気持ちがまだ夏休みに向かっていないので、少なくとも一か月前から指導に入ります。
夏休み自由研究のテーマを決めるにあたっては、家庭の協力も欠かせないので、事前指導には早めに取り組むことで家庭のアドバイスも無理なく得ることができます。夏休みでどこかに出かける機会もあります。その際に夏休み自由研究に取り組むという家庭もあります。
今年は○○に行くから、その時に調べようという流れにもなります。家庭の協力は夏休み自由研究には欠かせません。
夏休み自由研究の取り組みは、学年によって少々違いますが、中学年の4年生あたりから、低学年のような観察的なテーマから少しレベルアップして、実験や体験、製作、資料集めなど内容は難しくなります。
低学年は調べて発見したという非常にわかりやすく、単純な内容で十分ですが、高学年の仲間入りの4年生あたりからは、何をどう調べるのかとか、どんな目的でやるのかを明確にしていないと非常に薄っぺらの内容になってしまいます。
では、夏休み自由研究の事前指導の流れを例に沿ってみていきましょう。
夏休み自由研究指導計画(例)
「夏休み自由研究」計画
1 ねらい
ふだんの生活にはない夏休みの自由な時間を使い、研究、調査、体験、制作(製作)等に取り組ませることによって、身の回りの物事への興味・関心、自主的に課題に取り組む態度、これまでに学んだ知識や技能、将来につながる個性を伸ばす。
2 夏休み自由研究の対象
○研究だけでなく、研究・調査・体験・制作(製作)等、幅広いものにする。
・研究の場合でも教科を理科に限定せず、社会でも国語でもどの教科もよしとする。
・1~2年生は、例年通りの制作など可能な形で自由研究を行う。
※理科の教科としての活動ではなく、夏休みの課題の一つとして取り組む。
3 夏休み自由研究の流れ
夏休みが7月27日~8月19日として計画してあります。
- ①アイデア用紙(3,4年)の記入 7月14日(水)まで
テーマ決定用紙(5,6年)の記入 7月14日(水)まで - ②計画書の記入 7月20日(火)まで (5,6年生は7月21日まで)
- ③夏休み自由研究の準備 7月26日(月)まで
- ④夏休み自由研究をしてまとめ用紙にまとめる 7月27日(火)~8月19日(木)
※研究以外でも調査結果や体験談、製作過程、感想などを文章・イラスト・写真を利用してまとめる。 - ⑤夏休み自由研究の提出 8月20日(金)
- ⑥「夏休み自由研究展」 8月25日(水)~9月1日(水)
4 計画段階の指導
(1)3,4年生
- ①理科専科が、「夏休み自由研究」と「アイデア用紙」の説明をする。
- ②3年担任が、参観日に、「『夏休み自由研究』の進め方」を使って保護者に説明する。
- ③担任が「アイデア用紙」を回収し、テーマ決定の指導をする。
- ④担任が「計画書」を配付し、計画の指導をする。
- ⑤理科専科が「まとめ用紙への書き方」の説明を行い、まとめ用紙(マス目付き工作用紙)4枚と「下書き用紙」4枚を配る。
※配付プリント「夏休み自由研究」、「アイデア用紙」、「『夏休み自由研究』の進め方」(3年保護者用)、「計画書」、「まとめ用紙への書き方」、「下書き用紙」は係が用意する。
(2)5,6年生
- ①理科専科が、「夏休み自由研究」の説明をする。
- ②担任が理科以外のテーマの選び方の説明し、「テーマ決定用紙」を配る。
- ③担任が「テーマ決定用紙」回収し指導する。
- ④担任が「計画書」を配付して記入させ、計画の指導をする。但し、理科に関する研究については理科専科が指導する。
- ⑤理科専科が「まとめ用紙への書き方」の説明を行い、まとめ用紙(マス目付き工作用紙)4枚と「下書き用紙」4枚を配る。
※配付プリント「夏休み自由研究」、「テーマ決定用紙」、「計画書」、「まとめ用紙への書き方」、「下書き用紙」は係が用意する。
(3)その他
○まとめの用紙(マス目付き工作用紙)は係が一括注文し、学年費から支出する。 (1枚30円×4枚)×人数分
事前指導用の資料は以下をご覧ください
まとめの仕方がよくわからない3年生や4年生を対象にした内容にしてあります。これを配って説明します。
自由研究の計画書です。この計画書は夏休み前には完成させ、見通しを持たせて夏休みに入らせます。教師の確認はもとより、保護者にも見てもらっておきます。
アイデア用紙は3年生や4年生を対象に作られています。テーマがなかなか決まらない段階で活用するとよいです。
マス目工作用紙は、一般的に工作用の厚紙ですが、次ような利点がある。
- マス目が2㎝程度で細かな字も書きやすい
- ガムテープなどで連にするが、廊下などに掲示しやすい
- 4つ切りの画用紙のサイズで持ち運びが楽(学校への持ち物としても)
- 工作用紙なので、模造紙比べ破けるなどのことはほとんどない
夏休み自由研究のまとめかたは、以下の章の「自由研究のまとめ方」をご覧ください。
小学校夏休み自由研究の選び方
まずは、つぎの流れで夏休み自由研究の準備をしていきます。
- ①アイデア用紙の記入 いいいなと思うことを書く→やりたいことを3つ選ぶ→お家の人に見てもらう (決められる人は、テーマの決定)
- ②計画書の記入 (家の人と相談して決めること) テーマの決定→内容を決め、計画書を書く
※この計画書の指導が特に大事です。これが一通り書けていれば、子どもも親も安心です。計画書は一気に書かなくてもいいです。宿題などで取り組ませるのがベストです。 - ③夏休み自由研究をする準備 計画書を直す、まとめの仕方の説明を聞く、マス目画用紙をもらう
- ④夏休み自由研究をして、画用紙にまとめる 夏休み中
- ⑤夏休み自由研究の提出 始業式の日に出す→おかしいところがあったら直す
- ⑥「夏休み自由研究展示」
8 月夏休み明け~教室前廊下等に展示
事前指導の内容と保護者への説明
事前指導では、特に中学年の3年生4年生には以下の内容を指導しながら、子どもたちにも夏休み自由研究の見通しをつかんでもらうようにします。
また、保護者にもお便りなどで夏休み自由研究の準備についてのご協力をお願いするとともに、どんなふうに取り組んでいくのかを知らせていきます。
学校での直接的な指導は事前指導が中心なので、家庭でも学校の方針を伝えていくことはとても重要になります。
必要ならば、休み前の参観日等の学級懇談会などで夏休み自由研究の取り組み方について説明をするとよいでしょう。
以下のお便りの内容を参考にしてください。
1.内容
研究(けんきゅう) ・調査(ちょうさ) ・体験(たいけん) ・制作・製作(せ いさく) などからやりたいことを選んでください。どの教科でもいいです。
2.研究のまとめ方
マス目の画用紙(がようし)4枚にまとめます。研究の内 容・調査 の結果がわかるようにまとめてください。体験や製作の場合にも、計画や体 験談(たいけんだ ん) 、製作の様子(ようす) 、感想(かんそう)などをまとめます。
3.計画と準備
夏休みまでに、しっかりした計画(けいかく)を立てると、夏休みが楽しくなりま す。さぼらないで、ここでがんばりましょう。しめきりを守ってください。
4.お家の人と相談する
材料の準備や購入するものもあるので、おうちの方ともよく相談(そうだん)して おきまし ょう。おうちの方といっしょに研究するのもいいのです。ただし、主 役(しゅやく)はあ なたです。
テーマの見つけ方
人に頼らず自分で進めていける、自分らしいテーマを、見つけさせます。
- 毎日の学習内容から・・教科書にあったり、授業中にやったりしたことで、不思議 に思ったこと、もっと知りたいことを詳し調べてみる。出来 なかった技や作品に挑戦する。
- 日常生活の中から・・・日頃、疑問に思っていることを詳しく調べる。今まで やってみたかったけれど、時間がとれなかったことに挑戦し てみる。飼育・栽培しているものを続けて観察しまとめる。
- 去年のチャレンジから・・去年の夏休み自由研究でできなかったこと、もっと調べたくなったことに取り組む。飼育や栽培、観察は長く行うほど良い発見が生まれます。
- 新聞記事や本から・・・科学雑誌、本、インターネットの自由研究のサイトなどからヒントを得る。(まねから始めるのもいいことです。)
こんな「夏休み自由研究」もいいと思います
- [ 研究・調査 ] 「ふるさとの町のこころをたずねる」活動も考えられる
地区のこと(お宮、お寺、古墳、お祭り、昔の様子)を調べる - [ 体 験 ] 普段出来ないことにチャレンジしてみる
一人旅、農作業、家族の仕事場、様々な体験募集に参加 - [ 制作(製作)] じっくり時間をかけて満足のいく作品を作ってみる
ただし、次のような取り組みは、やらないこととしますので、注意してください。
- 料理を作り、その作り方を写真に撮ってまとめる。または、レシピを載せて、感想を書く
(5年生では家庭科で調理実習などを行なっています。料理体験はやめましょう) - インターネットで調べて、それを印刷してまとめるだけもやめましょう。自分で調べて印刷して もそれは単なる資料にすぎません。簡単にできるものは実になりません。何を調べ、それから何 を見つけることができたかが、自分の研究です。インターネットはあくまでも道具です。上手に 活用しましょう
- 市販のキットを買って、それを製作する
夏休み自由研究テーマの例
- 光に集まるクワガタムシのちょうさ
- すべり台のヒミツ(角度・おしりの大きさでのちがい)
- 西洋たんぽぽと日本たんぽぽの育ち方くらべ
- 家のまわりのチョウの観察
- せみの羽化と気温の関係調べ
- 他の植物の花粉できゅうりの実はつくか
- 氷を水に入れるとひびが入るのはなぜか
- 10円玉でクツのにおいが取れるわけ
- 大根のおろし汁で紙は白く強くなるのか
- 磁石でくだものをあまくする?
- アメンボは色を見分けられるか
- なぜしゃもじにポツポツがあるとご飯がくっつかないの?
- ハチの巣はどうして6角形なのか
夏休み自由研究のテーマは、以上のようにある程度具体的なテーマをつけることで何を調べたり、経験するのかがわかり、子ども自身も何をどうするのかがはっきりします。
「雲の研究」「ありの研究」のように何をしたのかが具体的に見えないのでテーマで研究がわかるようにします。
小学校夏休み自由研究のまとめ方
自由研究のまとめ方は、基本的には各家庭で取り組んでもらうことになるので、学校ではその例を実際に見せたり、以下の「チャレンジのまとめかた」(自由研究のまとめ方)を配って事前指導します。
ご家庭にもこのやり方を知ってもらいながら、保護者の協力もお願いしていきます。どんなふうにまとめるのかを示していくことが大事です。
まとめ方は、あくまでも参考です。この通りにまとめるということではありません。自由研究の領域は理科だけでなく、様々な科目にわたります。
しかしながら、テーマや動機といった項目(チャレンジのまとめ方にある項目など)は、どの科目にも共通するものなので、この項目は必ずまとめるときには使うことを徹底するほうがまとめやすいでしょう。
まとめ
小学校の夏休み自由研究の事前指導やまとめ方のポイントです。
- 夏休み自由研究は事前指導できちんと教える
- 夏休み自由研究の準備は夏休みの一か月前から始める
- 夏休みの自由研究の計画書は家庭にも見てもらうこと
- まとめ方の資料を配布して、家庭の協力も得る
- まとめ用の用紙は、工作用紙を使う(4枚が基本)
小学校夏休み自由研究は、ネットで検索するだけで、多くのアイデアや事例を知ることができますが、実際にまとめるのが大変です。
しかし、以上の方法で事前指導をしておくと、家庭の協力も得ることができ、子どもたちも自由研究を少し安心して夏休みを迎えることができると思います。
実際にこの方法で指導してきて、ほとんどの小学生児童が夏休み前にテーマを決めることができ、その用意も夏休み前には整うことができました。
休み明けには、みんなで発表会をしたり、掲示して保護者の皆様にもご覧いただく機会があります。学級の指導の差がそんなところにもあらわれます。
一学期の後半には、成績処理や休みの準備などで忙しい時期でありますが、少しずつ時間をとって準備することで家庭の協力も得られます。
小学校夏休み自由研究は、保護者の協力が必要な子どもがほとんどです。ですから、家庭の協力を得るうえでも、事前指導をきちんとして、できる限りの準備をさせておくことが学校の立場としても大事になります。
小学校の夏休み自由研究は夏休みの家庭学習のなかで大きな課題です。子どもたちがそれぞれに取り組んできた夏休みの自由研究は、休み明けには、できれば授業で時間をとって、発表会などをしてその成果をみんなで認め合うことできるといいです。
なかなか時間がとれず忙しい小学校ですが、教師の一言コメントなどを一人一人の夏休み自由研究に貼り付けて、その成果を評価してやるなどのことを大事にしましょう。
自由研究のまとめ方必見!自由研究の計画と書き方はこれでバッチリ!【計画書資料あり】のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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