昨今、教師が教え子に非違行為をして逮捕されるなんてことが時々ニュースになります。
被害にあった子どもたちがだんだん低年齢化していることも心配ですが、教師の資質が落ちたかのように思われてしまうことが悲しいです。
教師と生徒が恋愛関係になってしまうことは今に始まったことではありませんし、生徒が卒業後に先生と結婚した事例は昔からあります。愛情というものは無限ですから、誰が誰を好きになっても仕方がないことです。
恋愛感情が非違行為ではないわけですから、そのあたりをきちんとして愛が育まれればいいのですが、現実はなかなか難しいということでしょう。
教師と生徒との恋愛について、知っておくとよいことを紹介します。生徒と教師の恋愛が非違行為として処分された事例や法律について触れてみました。
恋は盲目と言いますから、そうなる前に一読されることをお勧めします。
生徒との恋愛は法律に触れる?法令違反になる可能性
恋愛してはいけないということではありません。場合によりけりということを理解しましょう。
18歳未満の少年・少女との性行(またはそれに類似する行為)をした場合には、児童福祉法違反や条例違反となることがあります。
青少年健全育成条例は、都道府県ごとに定められており、名称も若干の違いがありますが、内容はほぼ同じものです。
金銭のやりとりがあれば児童買春罪となりますが、金銭のやり取りがない場合には条例違反となり、2年以下の懲役または100万円以下の罰金など、刑事罰が科されることがあります。
つまり、たとえ真剣に愛し合っていたとしても、青少年との性行為またはわいせつな行為はそれ自体が罪になるということです。
恋愛は罪ではないのです。人間の感情は仕方ないでしょう。やはりこの場合、大人である教師のほうが強い意志をもって第一線を超えないようにしないとダメでしょう。
そもそも恋愛感情は、性欲の表れともいわれます。まず、教師であることを忘れてはいけません。
教師だったからこんな出会いがあったことを感謝するとともに、相手を傷つけることにならないように我慢するのです。
教師と生徒の恋愛はたとえ真面目なものでも処分されることがある
実際に、どのような事例が処分の対象となったのか、いくつかあげてみます。
- 2012年7月、静岡県の高校教諭が教え子の相談に乗っているうちに性的関係になったとして、懲戒免職となりました。
- 2018年10月、高校教諭が女子高生に淫らな行為をしたとして、懲戒免職となりました。
二人には恋愛感情があり、交際していたとのことですが、それでも18歳未満との交際は認められなかったということです。
この2つの事例は、男性教諭が一方的に誘惑したり、わいせつな行為をしようとしたわけではなく、女生徒も恋愛感情を持っていたケースですが、それでも処分は免れなかったのです。
教師と生徒の恋愛というと、男性教諭と女生徒というパターンが多いものの、逆のケースもあります。
- 2020年3月、女性教諭が男子生徒を自宅に招いてキスをしたなどとして懲戒免職となりました。
また、大阪地裁で1990年8月10日に判決のあったケースですが、妻子ある高校教師が、校内で女生徒と交際をし、卒業後に肉体関係を持ったという事例があります。
この場合、性行為をしたのは卒業後であるから問題ないかというと、そうではありません。
この教師は懲戒免職処分となったのですが、青少年保護条例違反ではなく、公務員としての信用を失墜した、地方公務員法33条に違反したとして処分されたのです。
また、2017年9月、兵庫県の40代の中学校教師が、10代の卒業生に対して「デートしたい」などとLINEを送っていたとして、訓告処分を受けました。
卒業していれば安心かというとそうではないようです。やはり、10代の未熟な青少年に対して大人側からなんらかの働きかけをするということは社会通念上、許されないのでしょう。
卒業しても、過去は消えないということですね。成人になるまでは性行為はご法度です。とにかく真面目にお付き合いすることはいいのですが、不倫関係では印象が悪すぎます。
どこまでも、身分の縛りはどうしようもありません。公務員なのですから。公務員としての立場をわきまえて、非違行為に当たる行動を絶対にしないことが生徒との関係を続けられる条件になりそうですね。
処分されたらどうなる?教師としての将来性は?
例えば、懲戒免職となったとしましょう。懲戒免職は公務員に対する処分で最も重いものです。
仕事を失い、教員免許は失効となり、再就職することも難しくなるでしょう。退職金は一切もらえません。転職しようとすれば、必ず前職のことを聞かれます。辞めた理由を知れば、雇ってくれる企業はないでしょう。
新聞沙汰になり、氏名も公表されるので、家族にも多大な損害を与えることになりますね。場合によっては、その地域には住んでいられないことになるかもしれません。
どんなに反省しても、失ったものを取り戻すのは簡単なことではありません。場合によっては相手に損害賠償を請求されることもあり、金銭的にも苦境に立たされます。
他には、停職、減給、戒告、訓告などの処分があります。月給や昇給への影響、さらには退職金の減額ということもあります。教師としての信頼は失墜しますので、いいことなど一つもありません。
当事者の感情を考慮してくれることはほとんどないのが処分です。法律とはそうしたものです。守っているか違反しているかそのどちらかです。
教師と生徒の恋愛は卒業後、社会人になってからするのが良い
本来、恋愛は自由なものですが、教師と生徒の関係ではそうはいきません。恋愛の自由が認められるのは、「公共の福祉」の範囲内なのです。
恋愛感情はコントロールが難しいものですから、生徒が大人になるまでは恋人同士のようなお付き合いは十分に気をつけないといけませんね。大人になるまでは、教師を教え子の関係を大事に守りましょう。
とにかく教師であり公務員であるという立場をわきまえないと明るい未来はないということです。
教師と生徒という関係上、交際し、性的な関係をもつということは、他の生徒や保護者に対する影響が大きく、教師や学校への信頼を大きく損なう行為だからです。
たとえ生徒が卒業しても18歳未満なら処分の対象となることはありますので、どうしても交際をしたい場合には、生徒が18歳以上となり、自分で判断ができる分別のある大人になってからの方が良いでしょう。
来年からは、法律が改正され、18歳から成人です。未成年ではなくなるのですから、この違いは大きいですね。法律を正しく理解し、上手に利用する知恵が必要ですね。
まとめ
教師は子どもたちから見たら、いろいろな場面で頼りになる存在でもあります。先生と教え子の関係は年齢が近づくほど特別な感情に発展してもおかしくありません。
親のように接してくれたり、友達のように心開いてくれたりして、その子の人生の大きな存在になりうることがあります。
しかし、恋愛は時に性的行為の引き金になります。だから、教師がそのあたりをきちんとコントロールして、お互いに人生の汚点にならないように気を付けないといけません。いや、汚点どころではない夢も希望も失うことになるかもしれないのです。
そんなことは分かっている先生でも今まで多くの非違行為をしてきてしまった事実があります。
今、恋愛感情が芽生え始めている先生と生徒の気持ちは間違ってはいませんが、それが非違行為になった瞬間にすべてを失うことになるかもしれないことを心に留めておきましょう。絶対に。
教師と生徒の恋愛は卒業後に!?処分事例や法律についてのお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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