学校再開の授業は何を優先し、どこに重点を置けばよいだろう

授業再開しましたが、子どものためにも学校業務のスリム化で乗り切ってほしい。

コロナで休校し、2か月以上の学習の停滞がありました。

学校の先生たちがどれだけ頑張っても、学校教育の今までの方法ではとても乗り越えることはできない緊急事態でした。

この休校がいよいよ解け、学校が再開されましたが、元通りの教育活動が再開されるわけではなく、多くの計画変更をしながらの再開です。

今年の学校運営は元に戻すことを目標にするのではなくて、新たな方針や方策で子どもたちに学びを提供していくことではないかと思っています。

学校再開の今、授業の重点や学校運営で優先すべきことを考えてみました。

今年の学校運営だけでなく、これからの学校の役割を考えた時、このコロナの事態をきっかけにして、学校が変わる時のきっかけになるのではと思っています。

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休校でどのくらいの時間が失われたのか

小学校の4月と5月の授業時間をざっと計算してみます。

年度初めは、様々な学年の行事や学校行事が計画されているので、みっちり一週間教科の授業というわけではないです。

5月の連休もありますから、5月末まででおよそ7週間分になるでしょう。

一週間の授業数は29時間(4年生以上)として考えると、

29時間×7週間=203時間

仮に国語の授業は、毎日あるので、1週間で5時間で5×7週分=35時間

算数は週4時間としても、4×7週分=28時間

この2つの教科をとっても、それぞれ単元2つから3つ分の内容になるでしょう。

これだけでは、大変なのかそうでもないのかわかりにくいと思いますが、200時間以上の授業時間が失われているということは、学習内容が多い高学年にしてみれば、学校の授業時間にすでにゆとりの時間などあるわけないのです。

学校の教育活動の時間を授業に当てるように時間を作り出しても、200時間はあまりにも多すぎる時間です。

毎日、15分の授業を生み出してモジュール式に授業時間を確保したとして、次の計算になります。

200時間=12000分 一日15分とすると、800日必要。

普通に考えたら、200時間の授業を新たに生み出すには、休みを減らすか、学習内容を減らすかのどちらかです。

仮に、休みを減らして、夏休みの30日間を15日間として、5時間授業×15日間=75時間

200時間のうちの半分にもなりません。

ざっと計算しただけですが、200時間の損失はあまりにも大きいのです。

過去にこうした事例があるのか見つけてみましたが、ほぼありません。

なんとか、あの東日本大震災で同じような状況が生まれていたことを見つけることができました。あの時、教育現場の緊急事態はそれほど取り上げられていなかったと思います。

現地の学校の先生方のご苦労は計り知れません。参考までにお読みください。

東日本大震災 学校再開への道 

この震災の時の学校再開と、コロナの場合とでは、基本的に状況が異なりますので、参考にはならないかもしれませんが、この時でさえ、通常の学校生活に戻るのに、7か月かかったという記述があります。

教室や教具、場の整備に時間がかかっているとはいえ、休業期間は2週間程度だったことに比べると、今回の2か月以上の休校の遅れは、時間で取り戻すことはほぼ不可能だと思います。

だからこそ、内容の削減や優先すべきことを実行していくことが大事だと思います。

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今年度の授業は詰込み授業か

詰め込み授業になるのかということですが、現在の小学校も中学校も学習内容があまりにも多くて、普段から詰込み的な学習進度であることは間違いありません。

毎日着実に学習を進めないと、一年間では教え終えることができないのです。授業のやり直しなどはほぼ余裕ありません。学校行事の取り組みについても、だんだん精選されて、過度な練習や準備を改善してきているわけですから、学校の授業時間は全く遊びがない状況なのです。

ですから、詰込み授業は必至です。

文部科学省が学習内容の軽減をしたとしても、現場の先生たちは、子どもたちの学力を下げないためにどんどん教え込むことは当然です。

少なくとも、一応全部教え込もうとするでしょう。やらないことは責任問題です。

もちろん、過去においても学習内容や授業時間の確保については、軽重をつけて扱ってきていますので、さらに優先すべき学習内容を重視して、教えていくことになるでしょう。

そこで、2時間かけていた内容を1時間だけで完結するようにするために、教科書を使って教える方法から、ICTを活用して、短時間に効率的に学ばせる方法が多く取り入れられることでしょう。

今現在も多くのICT活用授業がありますが、さらに効率化を図る目的で活用されることになるでしょう。

NHKの「NHK for school」のビデオ教材は、非常によくできています。

こうした資料を活用して、どんどん授業を進めることもできます。

映像にばかり頼っては、教師として情けないと思う節もありますが、今はそんなことを言っている場合ではありません。

軽重をつけるという意味では、使えるものをどんどん使って、短時間に効率よく学ばせることができれば、それがこれからの常識になっていくかもしれません。

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学校は何を優先すべきか

学校再開すれば授業優先して学校生活が進められていくのは当然です。そもそも授業が最も大事なのであり、授業以外の活動はできる限り縮小されたり削減されたりするでしょう。

しかし、授業だけやっていれば学校生活になるかと言えばそんなことはなく、子どもたちは授業は大事としていても、授業以外の楽しみがない学校生活への不満は増していくでしょうね。

中学生なら部活動もありますが、競技会が中止や延期となっているならば、活動自体も縮小していってしまいますね。

学校生活は勉強だけではないので、授業を優先しつつ、学校生活を楽しいものにしていくかというアイデアが必要です。

とにかく、感染を防止する策を万全にして取り組むしかないのですが、学校単位であれば外部の接触は制限できます。

子どもたちの要望を考慮しながら、思い切った実行をすることが必要でしょう。

リスクがあるから何でも中止という選択は、今のところあまり良い方針ではないと思います。

家庭での学習も重視しながら、学校でできることをもう一度洗い直し、子どもたちがこの状況下でも学校があったよかったと感じてくれる運営をしていくべきです。

先生たちだけで考えるのではなく、子どもたちも一緒に考えることが重要です。

小学生でも中学生でもアイデアを持っています。ともに苦境を乗り越えるのに、大人も子どももありません。今回の予防や自粛の取り組みでも必ずしも大人が正しい行動をしているとは言えないことがたくさんありました。

一緒に生きている以上、子供達の意見も大いに取り入れてみてはいかがでしょう。

学校再開後の授業はどうすればいいのか

時間を生み出すには引き算が大事

過去にも授業時間の確保のために、行事を精選したり時間割を工夫したりして取り組んできましたが、時間を生み出すには「やることを減らす」ことが大事です。

やることをそのままにして、時間を増やすのでは、教師も子どももそのうち疲れてきます。

ですから、時間を増やすには、学習内容や活動内容を見直し、効率化や削減してどのくらいの時間が必要になるのかを見定める必要があるでしょう。

最も気をつけることは、時間を確保してとにかく授業を消化するということです。

1単位時間の授業時間が確保できないから、朝の時間を授業時間に当てるモジュール方式が多く採用されるでしょうが、授業ばかりになってしまうことが心配です。

学校生活は多くの教育活動で成り立っているわけですから、それらをどのように形を変えて実行するかが工夫ですね。

学習内容を削減してもバランスを重視

学校で指導する学習内容は、非常に多くありますが、特に多いのが主要科目です。

国数理社英ですが、丁寧に教えるべき内容と簡単に扱っても大丈夫な内容はあります。

これらの主要科目で軽重をしっかり図り、他の体育や音楽、図工美術などが単にカットされていくような状況はおかしな考え方です。

教育はバランスです。

学習内容を削減していく上でも、子どもの学校生活をどのように構築するのかという見方を忘れないようにして手を加えるべきです。

効率的な方法で理解を早めるICT

すでに学校の授業は教科書を主体にする方法から、様々な教具教材を駆使して指導することが多くなっています。

教科書通りに教えることはもう間に合いません。

教科書は大事ですが、読むだけでは理解しにくいものも、映像化したり、資料を活用することで短時間に理解することが可能です。

内容が理解できればいいのですが、時間をかけずにやるには、デジタル教材や教育ビデオなどの活用を積極的に行い、教師が説明するより早いものをどんどん利用するべきです。

教師は一人しかいませんし、指導者を増やして時間を稼ぐことはできません。

ならば、教師の大きな助けになるのが、ICTの活用です。

生徒や児童が一人一人使わなくても、教師が使って授業を進めることで学習の効率化が図れます。

教師のプライドを捨てて、デジタル教材や教育ビデオや番組を利用しましょう。

以下のサイトは、企業が紹介しているものですが、参考になると思います。

教育ICT総合サイト

コロナの影響は、社会の様式も見直すきっかけになるでしょう。

学校教育もそんなチャンスとしてさらに学習の効率化や授業形態を見直す時です。

学校の果たす役割を今こそ考えよう

コロナの影響で学校が休校になり、教育が停滞しました。

学校教育ですから、学校に子どもたちがいないのでは教育になりません。しかし、学校にこれない子どもたちや一斉指導についていけない子どもたちは減りません。

法律の下の学校制度ですし、現在の教育制度は大きな成果を上げてきているのは確かですが、学校の抱える課題はもう飽和状態です。

コロナが収束して、また元通りの学校生活になればいいというのだけではなく、学校が抱える諸問題を解消できるように進んでいく必要があると思います。

学校の役割をスリムにして、家庭・地域・企業などが教育を支える仕組みづくりを本気で始めていく時が来たと思います。

家庭の役割をお願いする前に大事にしたいこと

学校は勉強するところであるのが基本。生活の基本を教えるのは、家庭です。道徳や生活習慣などは家庭の責任です。

これを伝えてもそうなりません。

お互いに立場を理解しあうことがとても重要なことです。

まずは、家庭の批判、学校や教師の批判をやめて、キチンと話し合う姿勢を持ちましょう。

教師と家庭が協力できる体制を作るには、とにかく連絡を密にとることです。子どもを通じて教師を知る親も、子どもを通じて親を知る教師も、互いに信頼しあえることが重要です。

信頼は自然とできるものではなく、絶えずかかわりを持ち続ける積極的な働きが必要です。

そのうえで、教師も親も安心して自分の役割を実行できるのです。

思いやりの精神です。

教師も親も思っているだけは何も伝わることはなく、思いは伝わるように行動しないと信頼関係は生まれません。

連絡を大事にする。連絡帳、電話、手紙、家庭訪問、メールなどかかわりを持つ手段はいろいろあります。

気持ちを量ることが難しくなっている現代では、ストレスにも弱い人が多くなっています。

それには、思いやりが大事な行動です。

互いに連絡しあうことで、誤解も減り、安心した関係を結ぶことが可能になるはずです。

地域の役割をどんどん活用しよう

学校再開しましたが、例年通りの運営は難しいでしょう。

学校本来の業務は授業や学校生活の運営です。これに専念できるようにしなければいけません。

学校外の役割については、縮小したり、積極的に協力を得ましょう。

地域における子どもたちの生活や行動は、基本的に学校の責任ではありません。

交通安全や地区の行事、少年育成などすでに地域に担っていただいていますが、さらにその方針を強め、教職員の負担軽減を進めるべきです。

中学校においても、部活動の指導は教師の役割ではなく、地域や企業の指導者に委託していくべきです。そうすることで、雇用を生み、様々な人たちのかかわりによって子どもたちも成長していくことができます。

学校の立場上、いろいろな分野にかかわりを持っていますが、それを学校が主体となることを減らさないと、学校本来の業務や子どもへの学習指導に力を注げなくなります。

今回のコロナによって、学校の役割は何かと言えば、学びを続けることです。

学校にこれなくても、学ぶことができるには、その準備と体制が必要でした。

今後、オンライン学習の必要性は確実に増してきます。

家庭と学校をつなぐためにも、ICTの活用は不可欠になるでしょう。

それには、学校の教師たちがその整備や実行にかかわることができる環境づくりが必要です。

それには、学校の業務の無駄を省き、役割を精選し、授業を優先し、子どもたちの学習指導に専念できることが何よりも重要です。

無駄な業務を削減し、授業に専念する

小学校も中学校も学校が再開し、授業の日々が続いています。

傍から見たら、元通りの学校生活が運営されているように思いますが、決してそうではありません。

2か月以上の停滞は、一年間の学校運営に大きく影響し、どうしていいのかわからないくらいにいまだに先のことが決定できずにいます。

行事もいつできるようになるのか、何ができて何ができないのか判断に苦しむ状況です。

コロナが収束していない以上、先の見えない学校運営なのです。

ですから、今は目の前ことを急ぎ足でこなしていくしかありません。いつまた、コロナの感染が広がり、休校になるかもしれない中にいます。

今年度の学校運営で最も優先されることは、子どもたちの学びを止めないことです。

休校になれば、また停滞します。オンライン授業はすぐにはできません。

子どもたちが学校に出てきて何とか授業ができ、子どもたちが公平に学べる状況を維持していくことが一番大事です。

そのためには、教師たちが授業に専念できる環境を整備することです。

余計な業務は一切要りません。

教育委員会も余計な業務が増えないように配慮することが必要です。

ただでさえ、学校に要求や指示が多すぎます。

調査とか、アンケートとか、レポートの提出など、子どもたちに今すぐ還元されることがないものばかり、それにかける時間が無駄です。

はっきり言って、そんなものはなくても何も困りません。教師の自己満足的なものは今年度はすべて中止や削減です。

授業研究などそんなことにかける時間があれば、自分のクラスの授業の教材研究に力を注ぎましょう。

学校再開しても、子どもたちの学びの実情に合わせて授業や学校生活を運営することが大事です。

授業が全てです。

もしも、臨時の教師を配置できるならば、どこにどんな人材が必要なのかを洗い出し、人的支援をしてほしいものです。

短い時間で多くのことを学ばなければならないならば、先生は一人でも多くいたほうが子どもたちのサポートが厚くなります。

臨時教員の確保が難しいのが現状ですが、そのくらいの予算を確保して、きちんと対応することができれば、受けてくれる人は必ず出てきます。

まとめ 子どもたちのために

甲子園大会がなんとか開催できるようになりましたね。

夢を追いかけてきた子どもたちに代わりの場はないと思います。地方での予選大会に代わる取り組みを決定したところも出てきました。

今年しかないチャンスを奪い取ってしまった状況を変えることができるなら、その可能性を探る努力が必要なんだと思います。

学校生活も小学校なら6年生、中学校なら3年生は、とても残念な最後の一年になっています。

これから先どうなるか、まだわかりませんが、子どもたちが悔いを残すことなく卒業できるようになったら、本当に有難いことです。

先生方は、日々の激務の中、試行錯誤しながらの学校運営かと思います。

学校運営上、大事なことばかり多いのが学校という現場ですが、一番大事な役割は、子どもたちに授業を提供して、学ぶ楽しさを教えていくことだと思います。

もちろん、楽しさなんて言ってられないくらいの状況で、詰込み授業もせざるを得ないでしょう。しかし、子どもたちが学校においてみんなと学び、活動することが彼らの人生を支えているのですから、学校が楽しいということを今こそ、最も大事に考えないといけないのかもしれません。

日々大変ご苦労されている先生方に感謝しながら、少しでも先生方のお仕事が無理なく営まれることを祈っております。

学校再開の授業は何を短縮してどこに重点を置けばよいだろう?のお話でした。最後までお読み下さり、ありがとうございます。

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