4年生や5年生になると、学校での成績や友達関係に変化が生じてきます。
学習は難しくなり、科目も増え、子どももやることが多くなります。
学年が上がると、問題や課題が多くなるは当然です。それだけ、学ぶことが多いのです。自分勝手な行動でもなんとかなっていたことも、高学年は通用しません。
通知表の評価も課題が見えてくるのも、こんなころです。
親と教師の指導や見方の食い違いもこんな頃に多くみられてきます。
通知表をもらったけど、ちょっと先生に言いたいことあるなあ。さて、コメント欄に何をどう書こうか…悩むところです。
そんなちょっと困った通知表の家庭からの一言コメント欄の書き方について、大事な点をまとめてみました。
先生とギクシャクしたくない親御さん必見です。
関連記事:小学校通知票の3観点◎○△3段階の見方について説明
なぜ4年生・5年生が大事なのか
4年生や5年生は、生活面でも学習面でもそれほど大きな進歩は見られることはなくなり、家庭でも指導に手を焼いていることが多くなります。
低学年の頃は子どもも素直で少しの過ちでも大目に見ることができたでしょうが、中学年高学年では反抗期も現れ、親も悩みの種になっていることがほとんどです。
担任の教師になんとか指導をお願いしたいという親もいれば、今までの学校側の対応に不信感を抱き、担任に期待することがないという方もいます。
そんな親御さんのどちらにも共通するのが、子どもの現状の姿を何とかしたいということです。
親離れしそうな反抗期の子どもや学習不振の子ども、今までの育て方を反省しても、なかなか親自身がなかなか変わることはできません。
日々の仕事も忙しく、子どもへの対応がなかなかできないのもこの年齢から始まります。親の愛情不足ではないでしょうか。なんてこと言われてしまいそうなことも…。
親もストレスの中で子どもの姿にさらにストレスを感じてしまいます。
子どもたち自身も、この4年生や5年生になると、自分の実力を実感し始めます。また、友達と比べることで自分の優劣を判断しようとします。
人は人、自分は自分とわかっていても、自分にできることよりもできないことがあると自分はダメだと思うようになり、物事を現実的にとらえるようになってきます。
それがこの時期です。
それだけ、家庭でも困っている。子どももなんだかうまくいかないことが多い。
心にゆとりがないところに、自分自身に自信がもてない親や子どもが多くみられるようになってくる時期でもあります。
そんな4年生・5年生の時期は自分の子どもは大丈夫なのか。子ども自身もどんな成績なのか、どんなふうに評価されているかということに余計に注目するようになります。
教師のほうでも、そうした現状を把握しつつも、伝えるべきことは伝えていかないといけない立場にあります。あいまいなことにしておくと、次の段階においても課題が解決されないままです。
6年生に向けて、何をどう指導していくことがいいのか。高学年になっていく上で、友達関係も気になるところです。
ですから、良い面をきちんと評価しながらも、やはり課題はきちんと理解しておいてほしいと思います。
そんな状況においては、いいことばかりの評価にはなりにくいのです。課題はだれにでもあります。しかし、教師がよしと思ってする評価が必ずしも親に子どもに素直に受け入れられるわけではありません。
そんなときに、それを親としてどんなふうに意見をしたらいいのか、家庭からのコメント欄に書くときに悩んでしまうのです。
まずは、そんな通知表の見方をちょっと知ってほしいと思います。
通知表は何をどう見るのかがとても大事
通知表の学習面の評価はこう見よう
学習面でも行動面でもその子のよさや課題を総合的に見て、評価していきますが、学習面においては、単元のテストの点数が評価の基準になります。
また、体育や音楽などの実技等の科目においては、どの程度まで達成できているかが重要になります。
それぞれの科目の特性に応じて評価の仕方が異なりますが、どの科目においても共通していることは、その学年の学習内容が定められているので、その内容をどの程度理解しているか、成果はどうであるかという到達度が主な目安と言ってよいでしょう。
小学校の場合は、評価は◎〇△の三段階で表します。この三段階の意味ですが、次のようにとらえるのが普通ですが、学校や教師によっても厳密に決まっているわけではありません。
- ◎…テストの点でいえば、90点以上
授業での発言が多く、ノートなどもきちんととっている。表現力が高ければ、その単元や領域は◎になる可能性は高い。 - 〇…テストの点でいえば、60点以上85点以下
かなり開きがあるが、単元の理解度がすべてテストで決まるわけではないので、普段の様子も加味される。勉強が苦手な子にとっては、できないわけではないという合格ラインに入るが、得意な子からすると、不安定な要素があるということで、◎にはならない評価となりやすい。 - △…テストの点でいえば、50点以下はこの評価になりやすい
小学校のテストは基本的にできることを確かめるテストなので、半分以下の理解ということは勉強をし直す必要があるということになる。「できる」という段階にはならない。50点前後の点数は、まったくできないということにはならないが、テストの内容で何を理解しているか、何ができるようになっているかを細かく判断できるので、普段の学習への取り組みも評価して△にするかどうかの判断をする。
以上の目安は、テストの点数が主に評価となる国算理社である。単元ごとの評価なので、テストの点数は評価に大いに生かされる。
実技科目は、出来栄えややる気です。これが非常に大きなポイントです。もちろん、やる気だけでは、好成績には結び付きませんが、できなくても根気よく取り組む姿勢や丁寧に学習している場合はそのよさが評価されます。
通知表の行動面の評価はこう見よう
行動面や態度面は、いくらよい思いや考えを持っていても、それらが表に現われていない場合はどうしても評価は上がりません。
また、小学生でも学年に応じた態度や姿勢が求められているわけで、それらをどの程度達成しているかということは重要で、頑張っていれば何でも高評価になるというものではないでしょう。
親御さんが通知表で不信感を持つ場合はどんな場合かというと、それは、行動面の評価です。
そのほとんどが評価が厳しいというものです。こんなに頑張っているのにどうして評価してくれないのか。という見方です。
性格や態度というものは、小学生の場合変わるということはまずないくらい変化は見られません。一年間通して◎のつくところと△はいつも同じことが多いです。
態度面においては、教師は日々子どもの姿を見ていますから、内に秘める思いや反省を大事に受け止めながらも、現実の見える姿がどうなのかというところが決め手になります。
また、表の顔はすごくいいけれど、陰ではまるで反対の姿が見られる子もいます。先生の前ではいい子だけれど、友達の中では暴言や不道徳な面がある子もいます。どちらもその子の姿ですから、◎にはならないでしょう。
家庭では学校の様子は見ることはできない分、どうしても家庭での子どもの姿や言動と、学校での違いに疑問を抱くことは当然ですね。
しかし、子どもにとっては、学校はよその顔を見せているところでもあります。表に見える姿がどんな意味をあらわしているのかを理解しようとすることがとても大事なのです。
もしも、行動面の中にどうしてという予想外の低い評価があったとしたら、それは、学校での姿であることを忘れてはいけないと思います。
親御さんが見ている子どもの姿は家庭での姿です。親のいないところのでの子どもの姿は全く別物というお子さんも少なくありません。
家では元気がいいけれど学校では大人しい子。学校ではとてもまじめで間違ったことはしないけれど家ではすごく甘えん坊。家では怒られてばかりだけれど、学校ではしっかり者でみんなから信頼されている。
学校は子どもにとって社会です。大人が会社で頑張るように子どもも学校で自分一人で頑張っているのです。
教師は、集団の中でのその子の姿を見ていることが多く、親御さんは家庭での個の姿を中心に見ているのであり、教師は家庭でのその子の姿を思い、親は学校という社会の中でのその子の姿を想像することが大事です。
教師は通知表の評価の言葉に神経を使っている
通知表の評価は多様な価値観を持った家庭が多くなってから、教師の指導上の評価をそのまま書くことはほぼなくなりました。また、その子のマイナス面をほとんど書くことはなくなり、プラスの評価を中心に書いています。
プラス面を大事にするということから、あえてできないことに注目するよりも、その子にあるものやその子ができることを評価していくという姿勢でしょう。
しかし、良い面ばかりに注目しても、その子の課題は見えてきません。また、教えることはチキンと教え、反省すべき点は反省するように指導していかないと放任していることと同じです。
その子の成長を願うからこそ、指導するべきことは指導する。
愛の裏返しは無視です。大事にするから放ってはおけない。だから、あえて厳しいことでも伝えていくことが必要だと思うんです。
ただ、言葉はそれだけしか伝わらなかったり、いろいろな意味に受け取られたりすることがありますので、通知表内の言葉は優しい表現になっていることが多いと思います。
そんなわけで、教師は通知表という大事な記録簿に残るものについては、非常に神経を遣って評価の言葉を書いています。
家庭からの一言コメントは書かなければいけないものではない
通知表の家庭からの一言コメント欄に何を書けばいいのか。いよいよその本題です。
が、必ず書かなければいけないものでありません。書かなければ、はんこだけでもOKです。
私の経験上、家庭からコメント欄に何も書いてない親御さんの理由は次の通りです。
- 忙しくて書けないし、ちゃんと確認したという意味ではんこを押してある。
- 書く必要がないなら、あえて書かなくていいなら書かない。
- 教師と保護者の関係が良くない場合は書いてこないことが多い。
- 忘れていて書かなかった。
以上のような理由が考えられます。もちろん、親から書いてなくてすみません。と理由を知らせてくれたこともありました。
夏休み明けなどは、他にも家庭からのコメントを書くものがあったりして、通知表やらなにやらいろいろと書いてもらうのは、教師としても気が引けるところです。
通知表の家庭からの一言コメント欄は、書いてなくても全く問題ありません。
ただ、指導上難しい子どもだったり、学習不振になっていたりする子どもについては、親御さんがどんなコメントを寄せてくれるのかを教師は気にしています。それは評価をどうとらえてくれているかが自分の評価の善し悪しにもなるからです。
通知表は学校からの通知ですが、やはりその内容をどんなふうにとらえるだろうかということに神経を使っています。ですから、何かしらの反応があるとそれを頼りにして、またよりよい指導に生かしていこうと思っているのです。
家庭からのコメント欄は内容によっては書き方が非常に重要
通知表の家庭からの一言コメント欄は、「家庭から」というタイトルのなっていますが、書いてある内容が、自分の子どもに向けての励ましになっていることがあります。
それはそれで、親が子どもを励ましていることにもなりますし、子どもも見ますので、子供向けに書いているのは悪いことではありません。
でも、一応、家庭からの連絡欄でありますから、親が教師に向けて書く欄としてとらえてください。
また、教師の指導について、子どもを励ますことを書くことで教師に対して、子どもへの指導に配慮してくださいと遠回しに伝えているようにも思えます。
親御さんが書く内容は、およそ次のように分けることができます。
- 教師への感謝とお礼
- 休み中の子どもの実態(プラス面、マイナス面)
- 新学期への子どもの課題や悩み
- 教師の指導についての期待とお願い
- 通知表の評価についての意見
- 教師の指導についての意見
こんなふうに分けることができますが、この中で教師に意見を述べることはどんなふうに書けばいいのか、親御さんとしても悩むところではないでしょうか。
答えははっきりしています。
意見なので、きちんと理由を書いておくことです。さらに、今後、どうしてほしいかという願いを書きましょう。短い言葉で多くを語ることは難しいので、とても重要な内容と感じているのであれば、あえて、そこには書かずに電話で話したり、連絡帳や手紙という手段もあります。
どうしても、この通知表の家庭からの一言コメント欄を生かすのであれば、あとで読んでもお互いに気まずくならないような文面にしましょう。
たとえば、指導において不満を感じていることについて…
我が子への先生の日ごろのご指導について、ご苦労をおかけしておりまして、親としても反省しております。なかなか良い面が見えない我が子でありますが、本人なりに頑張って目標を達成できるようになってほしいと思っています。ほかの子に比べ、なかなか指導上難しいところがありますが、新学期もそんな○○のよさを伸ばしていただくようにご指導よろしくお願いいたします。気になる面など多いかと思いますが、何かありましたら、遠慮なくお知らせください。
少々、長いコメントになりますが、長く書いているということは、それだけ強い思いがあることが伝わります。
こんな気遣いの言葉を述べながら、指摘したいところを述べたらいかがでしょうか。
大人の文章を心がけ、丁寧な言い回しを心がけるといいと思います。
しかし、これは、あえてこの一言コメント欄を活用する場合ですから、緊急に解決したいことや伝えるべきことがある場合は、この一言コメント欄には重要事項は書かないほうが賢明かと思います。
子どもの目にも触れますし、高学年の子どもなら、かえって気を遣わせてしまうことにも成りかねません。
大事なことは、面倒でしょうが、ちゃんと時間をとったり、別の方法で対応するほうがいいです。
まとめ 不安や心配は直に話すことが一番の解決策です
通知表は、親御さんにとっても気になる大事な通知です。
通知表の評価については、その子のよさが家庭にお伝えできることが一番のねらいです。
しかし、通知表の評価は完ぺきではありません。
教師も通知表では全てを語ることはできないのですから、誤解や落胆が起こらないとは言えません。
もちろん、人生においては大したものではありませんが、その子のその時の生き方を支えるものであってほしいと思いつくられているものです。ただ、子ども時代は良くも悪くもすべてが土台になるのですから、もっと前向きにとらえることが大事ではないかと思います。
もう少し気楽に通知表を見てほしいと思います。
親御さんは何を家庭からの一言コメント欄に書いたらいいのかというよりも、素直に感じたことを書いていいのです。
ただ、その書き方を注意しましょうということをここで述べさせていただきました。
たかがコメントされどコメントです。
一言で傷つけてしまうこともある「ことば」ですが、一言で心を温かくしてくれるのも「ことば」です。
通知表の家庭からの一言コメント欄は、いい言葉を散りばめられるといいですね。
でも、なかなかそうもできないと思ったら、先生と直に話しましょう。
顔を見て、表情を感じながら話すことが一番の近道です。
小学校4年生・5年生の親必見!通知表の家庭からの一言コメントの書き方がこれだ!のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント