小学校の授業参観はいつもの授業ではダメです!
ダメなんてことは本当はないのですが、仕事を休んでくる保護者にも少しは満足してもらわないと価値が半減します。
子どもの様子だけ見に来るだけで特に収穫はないということになると、参観日はなくてもいいんじゃない?という感覚になっていきますね。
参観日の授業は、保護者の皆様が子どもたちの成長ぶりを期待しながら参観に来られます。子どもばかり見ているようで、実は授業の質も厳しく見ておられます。
授業参観は、ちょっと力を入れましょう。子どもたちもいつもと違うと思ってもらっていいのです。それだけ先生も力を入れているということが保護者にも伝われば、先生頑張ってるなという印象にもなるでしょう。
そんな小学校の授業参観のネタに困っている先生に、いつもと違う内容の授業はいかがでしょうか。参観日だから親にも考えてもらえるような内容の授業を紹介します。
それは、「オロナミンⅭの授業」と言っています。なんだこれ⁉と思う先生。ぜひこんな授業も試してみては。
授業参観はいつもと同じ授業はしない⁉
参観日は保護者が子どもを見に来る日ですが、教育に関心が高い今どきの保護者様は教師の指導ぶりや授業の質を見ています。
そもそも授業参観では、子どもたちの活躍ぶりや学習ぶりを見に来ている保護者に、満足したりもらったり安心したりしてもらうことが大事ですね。
ですから、いつもと同じ形態の授業は参観していてもつまらないのです。発言も少ないとか、ずっと考えて問題を解いているとかそんな場面は見てもらう必要はあまりありません。
子どもたちの声とか先生と子どもたちのやりとりとか、どんなふうに授業が展開していくとかそういう場面を見たほうがわかりやすいでしょう。
ですから、見せる授業をします。
できれば、全員の子どもが何かしら表現する場があると来ている保護者は来た甲斐があるというものです。
見せる授業は、保護者に参観に来たことを満足してもらうサービスです。
教師がサービス⁉と怪訝そうな顔をしているあなた。それこそが保護者の目線で見ていない姿勢です。保護者をお客様と考えると信頼関係づくりもどうすればいいかが少し別の角度から見えると思います。
さて、見せる授業とは簡単に言うと、動きがある授業です。そして、見ている参観者もその中に引き込まれていく授業です。
一緒に参加したくなるような授業です。
と言っても、一緒にやることではないので誤解のないように。
動きのある授業は、子どもたちが見ること、聞くこと、考えること、話すこと。そして書くことが自然と生まれます。その原動力になるものが興味・関心です。
子どもたちの興味・関心をひきつけるものを授業に用意するのです。
子どもたちの興味関心を引き出そう
小学校では子どもたちは授業を教室で行うことがほとんどです。時々、見学と称して校外学習に出かけていきますが、見学のいいところは本物を見ることができるからです。
教室ではそれを補おうと資料を用意したり、映像を見せたりとより分かりやすいものを提示することで子どもたちの関心や理解を支えようとしているのです。
関心が高ければ、学習に乗ります。しかし、そうでなければ動きはなくなりますね。それは言わずと知れたことです。
小学校では子どもたちの興味や関心を引くために、時には教室に驚きを持ち込みます。
教室の空間にあり得ないものが入ってくるだけで、子どもたちは注目し、気持ちが揺さぶられますね。
今回の授業内容もそんな「もの」を持ち込むことで関心を引くことを前提にしています。
それは結構大変じゃないかとか、子どもたちの気をひきつけるだけの小手先の技じゃないかという声も聞こえてきそうですが、何もしないで子どもたちの関心を引くことのほうが難しいのではないかと。
授業の成功は教師がどれほど準備をしたかにかかってきます。
料理に例えるなら、仕込み七分に腕三分というぐらい授業は準備が大事です。めんどくさがらずに子どもたちに提示するものも驚きを与えるぐらいに用意しましょう。
食の問題は本当に考えさせたいジャンル
この授業提案は参観日用ではないのですが、参観日にも一緒に見てもらうことで保護者の皆様にも勉強になるのはないかと思う部分もあります。
さて、この授業は「食」がテーマです。
小学校では、食育と称して学習する場面が多くなっていますので、高学年だけではなく、低学年でも対応できると思います。
少々難しい内容にもなるかと思いますが、3年生以上ならば実施可能かと思います。
この授業は「オロナミンcの授業」としています。
そもそも、とある教育本の中で実践例として紹介されていたものを参考にして計画した授業案です。対象が5年生です。5年生じゃなくてもできます。私は3年生でもやりました。
5年生というと、社会科で農業の学習を始めます。農業だけでなく産業一般について一年間かけて学習していきます。その始まりが農業からなのです。
学校によっては農業体験の一つとして、または総合的な学習の時間のテーマとしてコメ作りに取り組む学年学級もあります。
日本の抱える食問題として毎日の食生活を重ね合わせて学習していくことができるととてもいい学習になると思っています。
日本が課題としている食の自給率や食べ物の廃棄の問題などは、子どものうちから考えていかないといけない重要なテーマと思っています。
では、このオロナミンⅭの授業内容を見てみましょう。
参観授業にオロナミンⅭの授業はいかが
オロナミンCの授業のおよその内容はというと…
- オロナミンC
- お茶碗に一杯のご飯
- 一杯のコーヒー
- 一杯の煎茶
- 焼きたてトースト一枚
この5つの食べ物の中で値段が一番高いものと一番安いものを考えさせるという内容です。
以上の5つの食品を、この画像のように子どもたちに実際に見せます。映像ではなく、実物を見せるのがポイントです。
教室に漂う香りや茶わんやカップなどの実物によって子どもたちの五感が働き、様々な想像力が発揮されるのです。
この実践は20年以上も前に、とある有名な社会科の先生が実践されたものです。
この5つの食べ物の値段となる根拠を考えるとどれも同じような値段なのですが、原料であったり、食べ物として生まれてくる過程を考えたりする中で、その価値観に注目します。
日々の生活の中で、子どもたちがその食べ物にどんなかかわり方をしているかなども、値段を考える材料になっていきます。
普段、何気なく目にする、または食している食べ物の見方を育てるねらいもあります。
調べてくることが大事。考える根拠を持てるようにする
この授業は一時間の特別単元として扱うのですが、突然5つの食材を見て、どれが高いとか安いとか考えるといっても普段の生活の中でとらえている内容しかないので、自分で思い出すしかないということになります。
そうなると、友達の情報とか、話し合って考えるという方法しかないので、ややもすると想像だけで結論を出そうということになってしまいます。
これでは何を言っても説得力がないので話が深まりませんね。
ですから、これらの食材について調べるなどをしておいたほうが本当はその考えの根拠が明確なので、子どもたちも考えやすくなったり、より深く考えることができたりします。
そこで、この授業で子どもたちがより深く考えるためには、子どもたちになりの5つの食材の情報を持っていることがポイントになります。そこで、事前に導入の授業を行い、この5つの食材と出会わせます。
ただ、この導入の授業では、5つの食材はイラストとか絵などで提示して、本物を見せるのは当日の授業にします。本物に触れることで、考えが揺さぶられたり深まったりすることをねらうためです。
わたしは、上記の5つの食材を一応紹介して、この中でどれが一番値段が高いのか安いのかを宿題として出しました。
やはり、授業にあたって課題について、子どもたちも調べてくると、その食材についての自分の考えがはっきりしますので、お互いの意見や考えに厚みが出ます。
考えのよりどころがあるので深まりやすいですね。
話し合える学級ならば、サプライズ的に授業をしても面白い⁉
授業の展開は、子どもたちにどんなふうにその課題に取り組ませるかによって決まってきます。
しかし、こうしてきちんと子どもたちに準備させて考えさせることは大事な学習の方法ですが、どんな授業なのか、何を教えてくれるのかな?なんて期待感があるときには、事前の時間は入れないで、サプライズ的にこの授業を行うことも大いにありです。
子どもたちの思いがけない発想や考え、経験が取り上げられるので面白さもありますが、考える手立てがはっきりとないために子どもたちの出方次第というリスクはありますね。
私は、事前にきちんと調べてくるパターンと事前の学習はないパターンの両方ともやってみましたが、子どもたちの学習のレベルや話し合いのレベルが高いほど事前の学習がなくても話し合いが盛り上がりました。
ちなみに、どちらのパターンの授業でも子どもたちは、値段にとらわれない考え方を支持する子どもたちが多く、最も価値が高いと考えるのが、ご飯(お米)でしたね。
現実的にきちんと調べると、一番高いのはコーヒーになるようですが、それが答えではなく話し合って考えることをねらっていますので正しい答えはそれほど必要ではないのです。あくまで参考です。
教師は資料を出せるように準備しておきましょう
調べ方は原料の値段を一杯や一枚ではいくらぐらいになるか、計算すると参考の値がわかりますね。
また、お店で売られている値段を調べてみると、ご飯一杯やコーヒー一杯もわかりますね。コーヒーはインスタントと豆から挽いたのでは大きな違いが出てきますね。
本当は、コーヒー一杯が最も高く、ご飯が一番安いとなるようですが、調べ方によってそうも言えないところがありますので、平均的な値を出すためには、教師のほうできちんと資料をそろえておいてもいいでしょう。
以下にそれぞれ単価を調べたサイトがありましたので、参考に見てみてください。子どもたちもこういったサイトを調べて参考にしていますね。
この授業の良さをまとめてみました
これが正しい見方かどうかは意見があると思いますが、実践の中で感じたことです。
- 食といった普段授業にはないテーマを扱うことで、何か普段と違うという内容が新鮮さを与える
⇒ 子供たち、保護者とも、授業内容に強い興味を抱く
保護者も授業に参加するような感覚を持ってもらえる - あらかじめ宿題をだして授業に望んでもらうことで、子供たちの授業に対する参加意識が高まる
⇒ 子供たちからの発言が多くなり、保護者に子供と生徒とのやりとりを沢山見てもらえる
子供たちの活発な発言から、子供たちが普段家庭で見せない顔を保護者に沢山見てもらえる - 食べ物を教室に持ち込むことで驚きが生まれ、五感を通して考えることができる
⇒絵や画像ではない本物を目の当たりにすると、さらに考える幅が広がる。仮想世界ではない本物を授業に使うよさがある - 値段だけでないそのものの価値を考える授業に広げられる
⇒想像力や普段の経験をもとにして、考えるたり話し合ったりするよさを感じさせることができる - いつもと違う内容の授業であるからドキドキ感がある
⇒授業はパターンにはまらない形態が子どもたちの学習への新鮮さを与えることになる。意外な内容が子どもたちの思考を刺激することができる
授業を実践するにあたっては、どんなねらいなのかを教師のほうできちんととらえておくことが最も大事なことです。
しかし、そのねらいに向かうように教師のほうで無理に誘導せず、子どもたちに話し合わせながら、どんなことがわかってきたかをまとめていくことが必要です。
この授業は、高学年ならば、話し合っているうちに食材の価値とか、食の問題とかにも展開されていきます。その中で子どもたちが新たな課題や思いを持てる授業だと思います。
ICTの活用が当たり前になった今ですが…
知らないことや調べたいことは、少し昔は本で調べたり人に聞いたりすることが普通でした。そういう手立ても子どもたちにとっては大事な学習方法を学ぶための経験でした。
しかし、今ではネット上に様々な情報があり、簡単に手に入れることできます。それが本物かどうかを見極める必要はありますね。
子どもたちはネット検索にも慣れてきているので考えの参考になりそうなことを簡単に見つけるでしょう。
ところが、実際にお店で見てきたとか聞いてきたとかいう実体験が非常に説得力があるのです。ですから、調べるということは様々な手法がありますが、それぞれの良さをきちんと分けて考えることをさせると、子どもたちの考えを揺さぶり深く考えるようになります。
このオロナミンCの授業は、食を考えるきっかけとして行う場合ときちんと調べたうえで議論する場合でもその考えの根拠となるものがたくさん出てくると学習が深まります。
調べるということは学習の方法としてもとても大事な学力です。
本で調べる・人に聞く・実際に見る・体験するなどこれらの行為の良さを実体験させ続けていくことで確かな知識として理解できるようになります。
そんな授業を心がけていきたいですね。
授業のネタがなくなってきたら、本で調べる・人に聞く・実際に見る・体験するなど子どもが実際に動く学習をすると生き生きします。教師が悩むよりも子どもが動くことができれば楽しい授業になりますね。
まとめ 教師が面白いと思うものを子どもたちに教える
小学校で教える内容は非常に多く、毎日新しいことを授業で教えていて余計なことを授業でやってる余裕などありません。
でも、時々子どもたちに変な授業をするなあと思わせるぐらいじゃないと教師も子どももつまらなくなりますよ。
授業参観はそんないつもの授業ではなく、ちょっと変わったことを取り上げて授業すると年間数回の授業はちょっと変わったことができる日となります。
教師が面白いと思うものを子どもたちは面白いととらえます。教師の気持ちが表れるとそれは子どもたちに伝わるものです。
授業参観のネタに困ったら、そんな授業をしてみるといいです。手始めにオロナミンCの授業を実践してみてください。
確実に受けます。でも、資料をちゃんと用意しておいてくださいね。無手勝流になってしまっては授業の質が落ちますから。
小学校の授業参観でネタに困ったらこれ!のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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