小学校の給食の時間は、学級生活の中で重要であり、学級経営の良しあしが現れる部分です。
給食当番は毎日確実に行われる活動ですし、活動自体は難しいものではありませんが、どんなふうにさせるかがとても重要です。
コロナで給食の食べ方が感染予防対策していますが、準備や片づけなど基本は何ら変わりません。
小学校の給食の時間のはじめと終わりに位置づけられる当番活動ですが、この給食当番のやり方が給食の時間の安定や安心につながるといってもいいでしょう。
なくてはならない給食当番表~給食当番のやり方まで大事な点を見ていきましょう。
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ポイントその1 給食当番は集団行動
小学校の給食当番はどんなふうに当番を組むのかいくつかの方法ががありますが、次のように二つのタイプにになります。
- 生活班で毎日や週ごとに交代しながら行う…生活班のメンバーで仕事を分担する。
- 給食当番の分担表で行う…毎日仕事を交代しながら、一定期間で全員が必ずすべての仕事を行う。
※生活班とは、教室の席で固められていることが多い班のメンバーで、4~6人で学習や活動の際に協力し合う。
以上のやり方のうち、当番活動がスムーズに進むのが、後者です。この後者の方法を使って指導していきます。前者は何が不都合かというと、班で行う必要性が給食当番にはほとんどないと言っていいからです。
複雑な活動方法にするよりも、単純明快に限ります。
- 給食当番は、だれが何をするのかをわかりやすくすることが大事
給食の時間はおよそ一時間です。その中で、食器等の運搬、配膳、食事、片付けがあります。いかに素早く、全員で動けるかです。
給食当番のやり方は集団行動と同じです。
給食当番表は役割分担を細かく決める
小学校の給食当番は食器、食缶、ご飯・パン、汁物、デザートなど多くの運搬をしなくてはなりません。
それらのものを教室に運んでくることが速やかにできることが給食の時間をスムーズに動かす鍵です。これが素早くできると給食の時間の苦労⁉は半減します。
そのくらい、この給食当番の仕事の中で運搬をいかに早くするかが重要です。
まず、そのために給食当番の設定です。低学年などがよくやっている「給食列車」というものがあります。
これは、食器、食缶(汁物)、ご飯、おかず1、おかず2、牛乳などを電車のように当番の子どもたちを一列につなげて、当番メンバーを組むことです。
次の日は給食当番の何をやるかが一目瞭然になっています。毎日、この給食列車を確認します。学級の係として運営すれば、子どもたちが進んで当番をチェックしてくれるので、担任は楽です。もちろん、担任も子どもたちの係活動を見守ることは必要です。
さらに、実際に給食当番が給食室などに取りに行く場面でも、きちんと並んですばやく行動できるようになるまで、根気よく指導し、よい姿をほめていきます。
給食当番は廊下などに素早く身支度をして並び、早く出発できるようになるまで教師は毎日欠かさず見守ります。
- 給食当番表は、だれがどの担当なのかをはっきりと示すものにする
- 当番のはじめの整列が大事。これができれば、当番はスムーズにいく
- 一列できちんと移動、給食当番は一斉に動く集団行動
当番表を作る前には、どんな当番活動にするのかを子どもたちにはっきりと話し、出来上がったらどんなふうに当番の表をみるのかを丁寧に説明する。給食当番のやり方についても細かく説明する。
小学校では、給食当番の移動についても、結構厳しく取り組んでいる学校は多い。
配るだけの活動と思ったら大間違いです。給食当番の姿が学級の質に表れるのです。
給食当番は毎日誰がやるかをきちんと決める
前述したことと重なりますが、自分が今日は給食当番なのだということをあらかじめわかっておいたほうがいいです。そのあらかじめわかっていることが行動を早めます。
自分が当番であることを全員で確認するのがいいですが、学級の実態によって変えてもいいです。給食の時間の前までに全員の前で確認できるといいですね。
みんなで確認できると忘れていても誰かが教えてくれるという利点があります。もちろん、当番表はありますが、見るかどうかは全員とは限りません。だから、朝の会などで、確認すること無駄ではありません。
給食当番のやり方はわかっていても、やるのは当の子どもたちです。
子どもたちは自分が当番であるかを忘れやすいです。また、勘違いもあります。教師がわかるだろうと思うのは大人の感覚です。子どもたちは意外に覚えません。また、忘れます。
それを補うためには、給食の係などを設け、その子たちに当番表を動かす権限を与えて活動させます。権限を与えられるというのは誇らしいことなので、責任をもって取り組みます。
こうして、子どもたちも一緒に給食の活動を動かしていくことができるようになると、さらにスムーズに給食に取り組めるようになります。
ポイントその2 給食当番の配膳の仕方
小学校の給食当番の子どもたちが給食を取りに行く間には、当番でない子どもたちはどうしているのか?これらの子どもたちも大事な役目があります。
何をするかというと、お盆を使っているならば、それらを机に配り、自分の席について待っています。
小学校のこの当番でない子どもたちが静かに落ち着いて待っていられるかどうかも、給食の時間の大きなカギです。当番でないからと遊んでいたり、勝手なことをしたりでは集団行動にはなりません。こんな子たちは配膳を手伝うこともしなくなります。
このことについての指導は、まず、教師が給食の配膳についての事前指導において、給食の決まりを大事にして、どのクラスでも同じルールでやるということを徹底していくことに尽きます。
給食当番のやり方は、校内共通です。この共通のシステムであることが配膳の場合にも言えます。
配膳の仕方については、学級だけではなく、学校の給食指導の重要な部分ですから、学校全体で協議して、指導の在り方については共通理解をしておかないといけません。
配膳の仕方の最も重要なポイントは、学校の約束事としてどのクラスも同じようにやることです。これができている学校は給食の問題が非常に少ないです。
では、その配膳の仕方については、次のようなポイントを大事にします。
- 全員に同じ量の給食を盛り付けること
※減らすのも増やしたいのも食べるときにやり、配膳中にはしない。 - 机に配る順番を一定にする
※いつも同じ向かって右側の列からとか1班からとか決めておく、バラバラに配ると誰が配ってないのかわからなくなる。これはとても重要。 - 子どもたちが配りやすい方法を必ず決める
※低学年と高学年では運べる量がちがうので、学級の実態によって子どもたちの声も聞きながらやるとよい。大抵、ご飯とおかずのお皿のセットで配ると漏れがない。 - 全員の給食が全部配り終えるまではずっと手伝う、遊ばない
※給食の時間は休み時間ではないことを日々繰り返し指導する。
配膳がよくできたときは褒めることが一番効果あり。根気よくよい姿を見つけていくことです。
それともう一つ大事なことがあります。
配膳に関して、いじめの兆候として観察する必要があります。いじめられている子に配ってないとかその子の配ったものを他の人のと変えるなどの行為が見られないかどうかです。
ですから、給食の配膳は、どの子も同じように行動し、不審な姿があれば、個別に指導していくなどの手立てを打っていくことが必要です。配膳中は注意深く子どもたちの行動を見守りましょう。
ポイントその3 給食の食べ方
現在の子どもたちは、家庭での食生活の影響もあり、好き嫌いや食わず嫌いなどの姿が多くみられます。しかし、これらのほとんどは学級の人間関係や仲のよさとも関係があるように思います。
友好的な雰囲気の学級では、心が開かれているので、給食を食べることについても素直な姿が多く、よく食べる傾向があります。半面、なかなか難しい人間関係を抱える学級では、偏食や食べ残しが多くなる傾向です。
自分の学級の実態に合わせながら、小学校の給食の食べ方指導を見ていきましょう。
食べる前に
食べる前にはあいさつさえすればOKではなく、見落としやすいことがあるのです。
- まず、配膳が終了したら、落ち着いて席について待ち、当番のあいさつで食べ始めます。
- 当番のあいさつには、必ず、全部のメニューがそろっているか確認する一言を入れます。この時に配り忘れがあれば、すぐに対応させます。食べ始めてからでは遅いです。
食べ始めの瞬間も目配りを忘れない。全員が毎日一斉に食べ始めるとは限らないのです。
おかわりについて
おかわりは基本的には、その日の食事を全部食べられる人がおかわりしていいとします。
- 一番は、食べ終わるまでおわかりはしないことです。自分の分をきちんと食べ終えることが大事。
- 基本的に、いわゆる「おかわり」は食べ終わった人が食べることができる。
ただし、給食を減らしたような場合はお替りできない。というふうに、きちんとルールを決めます。
これは、担任の教師が決めることです。もちろん、学校の給食のルールがあればそれを優先することです。
本来は、給食の残菜はないほうがいいのです。配膳で残らず配ることが基本です。子どもたちの食の実態に応じて対応しましょう。全員で無理して食べるよりも、食べられる人に食べてもらうのも協力のうちですね。
食べ残しについて
この食べ残しの対応は食べきれない子どもたちに対しての考えです。
- 食べられずに残す場合は、食べられるまで時間いっぱい頑張って食べる。
- 食べることも勉強ということを大事に教える。個別の指導がとても大事。全員同じ対応でなく、その子に応じた指導をしましょう。
ご飯の食べ残しはもったいないので、おにぎりを作って食べさせました。ちょっと塩を振って軽く握る。子どもたちには大好評でした。なぜか、おにぎりにすると食べられるのですね。
食べ終わったら
給食の時間中は、終わりのあいさつがあるまでは、食事の時間です。遊ばせていけません。
- 食べ終わったらどうするか。これも非常に大事、まずは、席を立たないこと。遊ばせないことです。
- 食べる時間は決めておいて、その時間は全員が食べることのみの時間とするのです。
ここが崩れると落ち着いて食べることは難しくなります。低学年のうちからこの食べている時間の約束を徹底できるかどうかが大事なことです。
必要ならば、ルール違反した子には、ペナルティを与えることも必要でしょう。食の時間の大切さを教えることができるのは、もう学校だけかもしれません。
ポイントその4 給食の片づけ方
小学校の給食は時間内に食べ終わらせることが優先すべきことです。
だらだらと食べていたら次のことが始まりません。
昔は食べさせないといつまでも食べられるようにはならないという指導がありましたが、今では、食べられるようになるまで根気よく見守る方向です。
小学校の給食指導では限界があります。学校がすべてを請け負うことはできません。ですから、教師は食べることについては、給食はあくまでも3食のうちの1食であることを理解し、無理やり食べさせることは控えていくべきと思っています。
さて、給食の片づけは、次のようにさっさとやります。
- 時間が来たら、当番にあいさつをさせ、全員一斉に片付ける
- まだ、食べ終わっていない子は何時何分までは食べていてよいという指示や約束を決めておく
- 片付けるときの所作などがとても大事なので、箸の向きをきちんして返却してあるか、ご飯粒をつけたまま食器を返却していないかなど担任がその場でチェックする ※初めの2週間ぐらいこれを毎日やれば、徹底できます。
食べ終えたら、すぐに掃除があるので、机を運ぶなどの次の用意をあいさつとともにやると、食べている子はだらだらせずに急いで食べます。これも集団を優先する一つの手です。
個人を優先したら、生活は進まなくなるか、気持ちよくできなくなります。自分のことよりもみんなのことを大事にすることを低学年の時代から気にさせることが必要でしょう。
まとめ
小学校の給食の時間を厳しく指導することが大事です。と言っても、無理にさせるとか、無理やり食べさせるとかいうことではありません。
あくまでも、子どもたち全員が気持ちよく食べることです。
時々目にしますが、レストランなどの公共の場においても好き勝手に食べさせるとか周囲を気にせずにふるまうとかいう姿が見られることはとても残念です。
学校の食の指導においては、マナーやルールを教えることが大事です。
食べることには作法があることを教えることが給食指導です。みんなで食べるという場においては特に必要なことです。
給食指導と当番のやり方の4つのポイントをまとめました。
- 給食当番はだれが何をするのかを明確に示した表を作る
- 給食の時間は集団行動 みんなが役割を分担する
- 配膳の仕方、片付け方はルールをつくってどのクラスも同様に
- 食べられない子を強制的に食べさせない。時間内に片づけることを優先
小学校の給食の指導は、給食当番のやり方をもとにして、学校全体が足並みをそろえておこなうことが基本です。すべてのクラスが同じようにできることです。
そのためには、学校全体での指導(給食指導係の講話、児童会の児童集会など)、学年での学年集会での指導など学級担任がひとりで頑張るのではなく、教職員全員が同じ歩調で指導することで学校全体に浸透します。
食べることは単に空腹を満たすことではありません。食に対する文化を大事にする過程に学校における給食指導があることを教師として大事にしていきたいものです。食べることはみんなで成し遂げることであることを忘れてはいけないと思います。
給食当番表だけではだめ?給食当番や給食配膳のやり方は?ポイントはこの4つ!のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございます。
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