そろそろ二学期も終わりが見えてきました。6年生の行事もあとは、卒業式ぐらいです。
いよいよ、卒業に向けての取り組みが始まりますね。
そのはじめがこの卒業文集づくりです。卒業文集は書き方を知ることで無理なく取り組めます。でも、ちゃんと教えないと子どもも教師も苦労します。
早めに下書きを書いて、清書をしていくには、毎日少しずつ取り組ませましょう。
卒業文集は何を書いてもいいのですが、記念になる一冊に載せる作文は一生残りますから、何でもいいというわけにはいきませんね。
やはり教師の指導が欠かせません。
卒業文集の定番テーマになることが多い、運動会・将来の夢・修学旅行について書く時のポイントを紹介します。
卒業文集を指導する前に、教師が心得ておかないといけないこととは⁉
卒業文集の個人のページは、基本的は何を書いてもいいんです。でも、作文ですから、苦手な子にとってはやっかいな課題です。すぐに書きたいことが見つからないということが多いです。
そんなわけで、たいていは過去の文集を参考にさせます。
「なるほどこんなこと書いてんだあ。」となりますが、参考の卒業文集を読んでも、そもそも書いている人間と自分が違うのですから、参考にすればすぐ書けるほど簡単ではありません。
あれを書こう!とテーマが決まっても書ける見通しがつかない限り、書けません。いろいろな思い出があっても、体験があっても書けるということではない。ということを教師は十分に理解し、ある程度待つ姿勢が大事です。
なかなか書けない子がとてもいい内容の文章を書くこともあれば、どんどん書いてあっという間に下書き完成したという子の作文は、初めからやり直しだったり、足並みは揃いません。
- 大事なことは、書くことが苦痛にならないように、大きな修正が出ないように、ちょっとずつ確実に下書きを書かせることです。
卒業文集に取り組ませる期間中に、私が大事にしたことは、次の通りです。
- 毎日少しずつ時間を取り、ちょっとずつ完成させる
- 絶えず、教師が添削する(たくさん書いたのにたくさん修正されると気持ちが凹みます)
- 全員の足並みがそろうように、遅れている子は宿題でどんどん書かせる
- 急がせない代わりにだれがどのくらい完成しているのかを見えるようにして、少しずつプレッシャーをかける
- 卒業文集作成の過程をきちんと説明し、どの段階のことをしているのか、次は何をするのかを子どもたちにもわかってもらう
やる気がなくなって、でたらめな作文や投げやりな態度で書いているようでは、本末転倒です。
担任教師の指導の跡が子どもたちの作文に如実に表れます。教師もたくさん手を入れて、世話をして、子どもたちの卒業文集づくりを後押ししましょう。
教師の文集づくりへの真剣さをどんどん表に出して指導していくことが大事ですね。
いかに、子どもも教師も真剣になって作文にとりくめるのかで決まります。
そして、大事なことが一つ!…一生残される卒業文集は失敗はしてはいけない、全員が成功しないといけない製作ということです。
卒業文集の書き方で小学生に必ず教える三つのこと
①卒業の記念として、その内容を書いておきたいかどうか
修学旅行や運動会、音楽会など小学校時代の思い出を書くことは何ら問題ありませんが、卒業文集は単なる振り返り作文や体験紀行文ではないということを教えましょう。
つまり、今までの授業や宿題書いてきた作文というものがありますが、それとはちょっと違うのだということを説明してやりましょう。
- 今この卒業にあたってそのことをなぜ書くのかということをその子なりに理由付けをさせます
なぜそれを書きたいのかということです。
楽に書けそうとか、そのくらいしか書けないという子もいるでしょう。そういう子には、
卒業の記念としてそれを書いておきたいかどうかです。
自分の得たものがあるならば、どんどん書けるけれど、気持ちが入ってないと書けないものです。
書きたい残したいというものでないと、誰が書いても同じものになってしまいます。また、行事内容は他のだれもが知っていることです。そんなみんなが知っていることを書いてもあまり意味がありません。
- その思い出についてどう思うのかを書くことがとても大事です。
文集は読んだり見てもらったりするものです。ですから、誰に向けて書くのかということは、何よりも重要ですが、少なくとも、読んでくれる誰かに伝えるために書きます。
読んでくれる家族、友人、将来の自分、将来の自分の子どもなど…この卒業文集は今よりも将来にその価値が見いだされることがあることを子どもたちに話していきましょう。
記念の文集のなので、残るものであること、大人になってから自分を振り返る時に読む、どんな自分だったのかがこの文集から読み取れます。ですから、自分は小学生時代に何を考えていたのか、どんなことを大事にしていたのかなど、自分がどんな人であったかがわかるように書いておくことが記念になると思います。
②早めにテーマを決めて、何を書くかを構成させよう
思い出を書いているうちにだらだらと際限なくあったことを書いて、起承転結がないだらだら作文もできてしまいます。
そうならないためには、必ず、
- はじめに何を書き、
- 次に何を書き、
- 最後に何を書いて終わるか。
はじめ・中・終わりの作文の構成をさせましょう。終わりが重要であることを教えてください。
作文の構成はとても大事です。
例えば、
修学旅行ならば…
①修学旅行に行く前の自分の気持ち
②東京タワーでの感動
③一日目のお風呂での失敗
④忘れられない出来事
こんなふうにして、何を書いていくかを決めて書くことは、どのテーマでも同じです。
おわりに、今の自分が思うことやこれからの自分にどう生かせるかのかということを書いて一番言いたいことを述べるようにすると、格好がつきます。
③下書きは何度も書き直しがあるということ
作文はとにかく書けばいいのです。
書いているうちにどんどん書けるようになることが多い。
はじめの3行が書けると10行ぐらいいけます。
早めに下書きができると、何がいいかというと、
実際に書いたものが読み手にどう伝わるかを教師が読んで、直したほうがいいところを指摘できるからです。
6年生ぐらいでも、自分の書いた文章を自分で読んで手直しをすることができる子どもは1割ぐらいでしょうか。30人学級なら、3から4人程度しか自分で自分の文章を直せないものです。
教師が添削して、直すべきところを教えます。細かく指示することもあれば、方向を示すだけの場合もあります。しかし、これをやらないと、なんだこりゃ作文のまま製本になってしまう恐ろしい結果になります。
昔はそれでもいい時代はありましたが、最近は文集代金だけでも、8000円もするのですから、ちゃんと手を入れてまともな作文にしないと、先生がいる意味がなくなります。
こうした添削作業は教師が一人でやります。子どもたちの仕上がりぐらいに合わせながら、どんどんチェックしていきます。
下書きは、内容の確認だけでなく、誤字脱字も確認しますので、下書きの書き直しは2回以上はすることになりますね。
ですから、下書きを早めに書き上げて、先生に確認してもらうということが早めに仕上げるための方法です。
卒業文集は自分のことをかく⁉どういうこと?
前項でも述べましたが、卒業文集はいろいろな人が読むことになります。
家族、友達、親戚ぐらいです。でも、記念文集ですから、捨てられることはまずありません。
生涯、大事に保管されることは間違いないです。
思い出を書くことが非常に多いのが卒業文集ですが、その思い出は学校生活の行事が多く、それらは、友達も経験しています。
そもそも、卒業文集にする意味は、みんなの書いたものを残すことで記念としているのですから、どんな文章でもいいのですが、せっかく書くのだから、いいものを残そうというねらいがあります。
そこで、いいものは何かということです。
それは、その作文にその人の思いや考えがあることです。
小学生の作文でよくあるのが、やったことやおきたことしか書いてないというものです。
「だった作文」なんて言いましたが、読んでいても何にも面白くないのです。
何を伝えるかが卒業文集では大事です。
卒業文集はいずれ大人になったときに読むでしょう。そんなとき、文章を読みながら、その人を思い出します。その人を想像します。
卒業文集は記念です。
小学校6年間の記念です。今大事に思うことや忘れたくないことを書くことで、自分自身をそこに表現するということではないかと思います。
それは、自分の思いや考えを書くことです。
その思い出についてどう思うか。その失敗で何を学んだのか。これからどうしたいのか。将来に向けて自分はどうしたいのか。決意とか願いとかがあらわすことができると、読み手はその人を想像するのです。
卒業文集の定番テーマはこう書こう
卒業文集のテーマとして特に定番の以下の三つについて、どんなふうに書けばいいのかを紹介します。
運動会編
運動会の思い出には、あえて失敗を書く子は少ない。しかし、その失敗から得たものを大事にして記念として書く子もいる。そんな作文が光る。
「リレーで転んでしまって、最下位でバトンをもらったが、すでに決着はついている。しかし、ビリでも全力で走り、ゴールを駆け抜けた。あんなに練習してきたのに、結果は最下位だったが、走るということの大事さを感じることができた。」
やはり、成功の感動を卒業の時期でも強く印象に残っている子は、この運動会の成功体験を書くことが多い。
運動会をテーマに書く場合も、だらだらと書くのではなく、1つか2つの場面に絞って自分の頑張りを書き、この運動会を通して何を学んだのかをまとめとして書くといいでしょう。
「できなかった倒立を毎日毎日練習し、本番当日、全然できなかった倒立を成功させることができた…練習することの大切さをこれほど感じたことはない。友達の励ましが力になったり、やできなくて泣いたくやしさなども、忘れてはいけない出来事だと思う。」
こうしたことがあっても、思い出されなかったり、うまく表現できていないことも多い。思い出の場面はいいことばかりじゃなくて、失敗やくやしさなどを織り交ぜることで、内容が深くなります。
上記の例のように、運動会の当日の様子よりも、当日までの苦労や努力などが必ず書かれることが多い。それだけ、子どもたちも成功までの過程に大事なものがあることを感じている。
運動会を通して何を得たのかが大事なので、運動会の何を書きたいのかをはっきりと整理させることで成功の喜びなのか、苦労したことなのか、感謝したいことなのかなどをとらえさせましょう。
将来の夢編
将来の夢は、意外に書きやすい。
きっかけから、今どうしているのかとか、これから何をしていくのかとか、そして、将来はどうなりたいのかを自分の願いを込めながら書いていく。
自分の思いがそれに向かっているほど、理由もすらすらと出てくる。
将来の夢は将来への決意みたいなもの。だから、記念にもなる。
どうしてそれになりたいのか。いつから、なぜそう思うようになったのか。これからそれに向けて何をしていくつもりか。将来はそれを実現したら、どんな願いがあるのか。など、想像や願いの世界のことなので、書きやすいものである。
紙面を書ききれない子には、テーマを二つにさせて、この将来の夢を書かせることで、無理なく卒業文集を埋める?ことができます。
将来の夢を卒業文集に書く子は、とても多いが、願いや将来への希望を書くだけではなく、根夢を持ったきっかけや今現在その夢に向けて頑張っていることなどを書くことで、どんな自分でいたのかを記念として残すことができる。
自分の思いや願いを自分の体験をもとに書いていくことがポイントです。
修学旅行編
修学旅行は、小学校時代の思い出としてはとても印象深いが、卒業文集にあえて書くことかというと、子どもたちはそれほど取り上げない。
もちろん、一人で2ページ分の紙面があるならば、この修学旅行などの宿泊体験を書く子はいるが、わたしの経験でも、一ページに一つのテーマという場合は、4クラスの120人中、修学旅行を取り上げたのは、3人しかいない。
楽しい出来事であったことは確かであるが、卒業文集となると、苦労したことや大変だったこと、やり遂げたことなど、自分を成長させたような内容が多い。
修学旅行を書くならば、以下のようなことをポイントにしてみたらどうだろうか。
修学旅行や校外宿泊学習は、みんな同じような体験をしているので、自分を含めて、その当時のエピソードや今だから明かす失敗談とか、秘密めいたできごとがかえって記念になると思う。
また、同じ体験をしているものの、自分自身は本当はどう思っていたのか、どんなことが感動的だったのか、忘れられない出来事はなにかなど、いくつかの場面に分けて、「あの時あの場面で実はこうだったのだ…」とかき分けてみることも面白い。
将来、大人になったときに、忘れていた出来事が思い出されます。細かくその当時の様子を書いておくことがポイントです。それが懐かしくも美しい感動の思い出になることは間違いないでしょう。
まとめ
卒業文集の書き方について、指導上の心得や定番のテーマの運動会・将来の夢・修学旅行についてのポイントを紹介しました。
ここで紹介した内容は、書き方の例というよりも、書き方のねらい的なものです。
作文の構成は、はじめ・中・終わりという基本がありますが、それにあまりこだわることはないでしょう。
書き方で大事なことは、次の通りです。
- 何を書きたいのか、小学校6年間の記念になることを選ぶ
- 作文が苦手な子は、テーマを2つ以上にすると負担が減る
- 何を言いたいのかをはっきりさせて書かせること
- 下書きを早めに書くことが成功への道
- 定番のテーマは自分中心に書いていくとよい
そろそろ11月も半ばで、いよいよ年末を迎えますね。二学期の終わりには卒業文集の下書きは完成しているぐらいのペースが大事です。
子どもたちの卒業への意識がこの卒業文集の取り組みから始まります。
時間に余裕をもって、少しずつ始めましょう。一気にやるという子とは足並みが揃いません。
毎日少しずつ教師もチェックしながら、無理なく進めてほしいと思います。
卒業文集は一生残るものです。その子がいいこと書いたなあと納得できるものを書けるように先生も丁寧に指導していきましょう。それには、早め早めの取り組みが必要です。
卒業文集書き方 小学生編!【卒業文集例あり】将来の夢・修学旅行はこう書こう!のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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