少子高齢化で年金のもととなる税収も減るばかり、公的年金という響きに安心感を覚える人は多いかもしれませんが、現実的には税収をきちんと確保しないと年金受給は安定していかないでしょう。
そんな状況の世の中で定年後は年金で楽な暮らしができると思うこと自体がもう危ないのです。
教員退職後の生活はけっして安心できません。ただ、だからと言っていつまでも同じように働くことができるかと言えば、こちらもNOです。
確かに、年金受給中にはまともに働けばその分の収入があるのですから、減らされてしまうので、働かないほうがいいと言えます。
年金だけでは生活していくことが難しい状況が生まれてくるのは予想できますね。高額医療費の問題、介護の問題、そもそも年金支給年齢が引き上げられるのは税金が足りないからです。
そうは言っても、すぐには65歳定年は来ないでしょう。年金をもらえても年金だけでは不足しますし、給料も非常に少ない。ですから、60歳からの生活設計が必要になってくるのは当然です。
定年後の年金の支給や生活の仕方について様々な記事がありますが、結構内容が難しいです。そこで、簡単にまとめてみました。
教員退職後は年金をあてにせずにどう生活していけばいいのか、仕事をしていくことの理由についてお話します。
年金支給はいつから
公務員ですから、今のところは60歳で定年退職です。年金の支給は一般的には65歳からです。
ですから、あと2から3年後に定年退職される先生方を除けば、60歳から65歳になるまでの間は年金の支給はありません。
ただし、公務員の配偶者の方がなくなられている場合は遺族年金の支給があります。また、本支給を繰り下げ請求することもできますが、減額され、その減額のままで生涯受け取ることになるので注意が必要です。
65歳までに支給される特別支給の厚生年金についてはきちんと働くのであれば、減額されたり、停止ということもあります。
基本的には年金をどの程度もらえるのかなどを定年後の仕事の条件と照らし合わせて、最も良い条件を選択することが大事ですね。
基本的に定年退職後は5年ほどは収入がないわけですから、収入を得るために働いている先生方のほうが圧倒的に多いでしょう。
65歳までは頑張って働いているのです。
その仕事は何をするかについては後ほどふれますね。
退職金と年金支給で暮らせるか
退職後に見えてくる生活費
まず、退職金は20,000,000円は確実にもらえるでしょうから、当座、特に心配はありません。
しかし、すでに何か入用があって使い道がはっきりしている場合もありますね。辞める前から、子どもたちの教育資金や家のリフォーム等に充てられることは十分に考えられることです。
退職金というものは必ずしも生活を楽にしてくれるという観念は持たないほうがいいでしょう。
もちろん、特に使う必要がないのであれば、後々の生活資金として貯蓄しておくことは当然の考えですね。
ますは、退職金を生活資金として使っていく場合を考えてみましょう。
60歳定年ともなると、現代では夫婦二人暮らしという場合が多いようです。ただし、現時点でも満額支給は65歳ですから、それまでの4年もしくは5年間は年金だけでは生活するのは大変です。
退職前の現職の給与での生活状況をそのまま続けていくことになるのであれば、年金では到底無理です。
退職金をそのまま充てて節約することもなく生活していけば、退職金はおよそ5年で底をつきます。
この退職後の生活で大変なのは、以下のような諸経費を如何に払っていくかです。
- 市県民税
- 年金
- 健康保険料
- 車の維持費
- 様々な保険料
- 家のリフォーム
- 介護関係
すでに終了しているだろうという経費
- 様々な借金(家のローンなど)
- 子どもの教育費
これらのものの中には、給与をもらっていたときは天引きされていることが多いので実感がないのですが、一度に引かれますので、ちょっと驚きます。
こうした経費や税金は給与がなければ、貯蓄を切り崩していくだけです。
夫婦二人でそれほど倹約することもなく、不自由なく生活していくとなると、1か月の生活費は最低30万は必要といわれています。
もちろん、無駄を切り詰めて、食べたいものも食べないで我慢していけばいくらでも貯蓄で長らえることは可能でしょうが、健康にも不安を抱える年齢になってきて我慢をしていくことは大変なことです。
退職後の人生は長い
退職時が元気な状況ならば生活していくことへの不安はあまり感じませんね。
ところが、退職してからの人生はまだ長いのです。30年以上は生活していくことを考えておかないと、それこそ本当にどうにもならなくなることもあるのです。
そこで、定年退職後の暮らしはいくらぐらいかかるのかをみてみます。
定年退職後の生活は、どのように展開されていくのかを見通したうえで考えたほうが賢明です。
また、一人で生活する場合の費用は予想を立てやすいものですが、配偶者がいる場合は夫婦の老後を予想しなければなりません。
夫婦二人暮らし(夫60歳、妻55歳)を例に予想
厚生労働省の簡易生命表によると、
60歳男性の平均余命…約24年 55歳女性の平均余命…約33年
ですので、夫は84歳、妻は89歳で天寿を全うすると仮定します。
すると、次のように考えることができます。
- 夫の60歳定年から、夫婦2人の生活期間…24年間
- 夫死亡から、妻一人の生活期間…10年間
総務省統計局の家計調査年報によると、
高齢者夫婦無職世帯の一か月の支出額…約27万円(年額320万円)
収入額…約22万円(年額255万円)
厚生労働省の就労条件総合調査によると、
退職給付額の平均…1941万円
この内容を上記の例の夫婦の生活に当てはめてみると、
- 収入…255万円×24年+144万円×10年 + 1941万円 = 9501万円
- 支出…320万円×24年+188万円×10年 = 9560万円
計算上は、約60万円不足します。
つまり、年金暮らしではギリギリの家計で生活するということです。
病気になったり、けがをしたりして病院に通うということになれば、アルバイトなどでお金を稼ぐことは難しくなりますね。
もちろん、公務員である教師の場合はもう少し収入額は多いかと思いますが、平均的な額として参考になるかと思います。
アルバイトなとで小銭を稼ぐことはできるでしょうが、いくらでも働ける健康状態がずっと続くわけではないでしょう。
定年退職後も働いてきた年月と同じくらい生きていくことは予想できます。生活していくためにはそれなりの収入がどうしても必要です。
年金だけでも倹約して細々と生活していけばいいという方ももちろんいらっしゃるでしょうが、もしも、我慢しながらの長い人生ということになるのであれば、それに耐えていくだけの覚悟がいります。
高齢化ということをきちんと考えておかないと、けっして安泰ではないということです。
再任用もいいけれど
教師を続けてきた先生方には、民間企業に再就職ということを選択する方は少ないですね。
慣れない仕事でストレスを感じながら生活することには抵抗がありますね。
やはり、慣れた仕事と言えば学校関係です。
定年退職した多くの教師が選んでいるのが、再任用制度です。
これは、定年退職者が対象です。早期退職者は基本的に再任用制度は受けられません。講師という形で現場に復帰することは当然可能です。
さて、この再任用の中身を見てみましょう。
フルタイム勤務もハーフタイム勤務も服務や休暇等の規定はほぼ同じです。
- 支給しない手当…扶養手当、住居手当、寒冷地手当、退職手当、へき地手当
- 医療保険…フルタイムは公立学校共済組合加入、互助組合も加入できる
ハーフタイムは2年間まで継続できる - 年金…フルタイムは公立学校共済組合加入 ハーフタイムなし
- 雇用保険…フルタイムあり ハーフタイムなし
- 給料…フルタイム →277,000円
ハーフタイム→138,850円
※平成30年度再任用職員の給料および義務教育等教員特別手当による
給与はフルタイムのほうが当然多いのですが、校務の負担という点からみると、現職よりもかなり少ない給与で仕事は同じなのです。
考慮されるようなことがあるとかえって校務のバランスに影響が出てしまうので、フルタイムの再任用は給料のみ半額と見たほうが妥当です。
でも、教師を続けてきて、60歳以上でこれだけの収入がある職種はなかなかありませんので、教師にとっては好都合でしょう。
ハーフタイムはフルタイムのさらに半額ですが、校務はほとんどなく、自分の担当する仕事のみですから、負担は少なくて済みます。
午前中勤務ということがほとんどなので、午後は自由とも言えます。
再任用はハーフタイムは人気がありますが、一校に一人ぐらいしか採用がないので限られます。
フルタイムもハーフタイムも教師ぐらいしかできないという人にはいいと思いますが、どちらの65歳までですし、高齢で学校現場の仕事は結構きついです。
いよいよ隠居という世界になるのでしょうね。しかし、お金が十分にあれば安心して生活していくことができますね。
なければ、65歳でも働かないとその後の生活の保障がないのです。
定年退職後は仕事なんか選べません
定年退職後はいろいろな職種が選べるわけではないです。というのもある一定の収入を得たければ、なおさら限られてしまうのです。
60歳でも家計の支えとして考えるならば、十数万円の給与では厳しいものですね。アルバイトでも頑張ればそれ以上は貰えるかもしれませんが、毎日フルタイムで働く必要がありますね。
そうなると、再任用は本当に「おいしい」仕事かと思います。
でも、65歳までです。
だったら、65歳までにその後隠居できるくらいな貯えを作っておきたいものですね。なければずっと稼いでいくのみです。
わたしは、サラリーをもらう仕事はあえて選ばず、将来には収入が得られるようにいろいろなチャレンジをしています。
以下のように、定年退職後もあらたな収入手だてとして考えられることを取り入れていくのは大事なことだと思っています。
- ネットビジネス(広告収入など)
- ネットワークビジネス(権利収入)
- 起業(自営業)
- アルバイト
- 投資(株、金融商品など)
一つの仕事で収入を得ていくのではなく、いくつかの収入源を持っていることは結構忙しい生活にもなり、頑張っていけば希望にもなり、生きることの活性化にもつながるのではないかと思っています。
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65歳から年金暮らしだけど安心できない
税金でたくさんひかれていく
年金は、政府が約束してくれているので、たぶん額面上の金額が支払われると思います。
夫婦ともに教師であったのならば、さらに安心できると思いますが、今後の世の中の流れとしては、税金は上がることは必至です。
後期高齢者医療制度で1割負担もどうなるかわかりませんし、とにかく税収を確保していかない限り公共サービスが立ちいかないくなりますね。
ですから、税金は上がり、年金は十分でも支払う税金も多くなっていくことでしょう。
けっして年金で安心できる老後ではないのです。
健康で元気にいられるなら何でもできる
60歳定年退職で人生の後半を迎えます。
楽に暮らすことを選べる人はいいのですが、そうでない人たちのほうがはるかに多いと思います。
楽に生きていけないと思うなら、とにかく「健康第一」です。
再任用でも自営業でもなんでも、働ける体がないと収入は得られません。
無理せず健康に生きていかれる生活を目指しましょう。自分の体に聞いてみてその生活状況を続けていくことができるのかどうかをしっかり判断しましょう。
頑張って働くのはいいけれど、病気になって普段の生活もままならないようでは本末転倒です。
なんのために働くのかという目標はとても大事ですが、自分を犠牲にしてまで稼ぐのは本当に辛いことです。
収入はとても大事ですが、もっと大事なことはご自分の健康です。
健康ならば、選択肢は増えますしチャレンジもできます。ぜひ、健康第一を考えるだけでなく、実行しましょう。
それが60歳からの生き方だと思います。
まとめ
教員退職後の年金はとても大きな収入です。
しかし、それだけで生活していくことは難しく、仕事をしていかないと安定した生活にならない世の中になっていくでしょう。
60歳は第二の人生ですが、貯えをいかに作っていくかをきちんと考え、いくつまでも働いて世のため人のために貢献しながら、収入を得ていく人生なのだと思います。
- 年金は満額もらえても、いろいろ税金として引かれていくでしょう
- 定年退後はあらたな収入源を求めていきましょう
- 一つの仕事ではなく、いくつかの仕事で収入を得よう
- 60歳定年後からは健康第一です
教師なのでなかなかほかの仕事や副業なども現職中はできません。しかし、60歳からこうしていこうああしていこうとあらかじめ構想しておくことがとても大事です。
とりあえず再任用でいこうかなでは、老後の安定は得られないかもしれないのです。
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