小学校も中学校も、卒業式は学校行事ではもっとも大事な行事であり、子どもたちにとっても人生の節目となる一日です。
その卒業式で最後の姿をみんなに見せるクライマックスが卒業生が歌う場面でしょう。
先生も親もそして卒業生の自分達も最も感動する瞬間です。
昭和の時代から平成の時代になり、この平成の時代には、昭和の定番だった卒業式の歌も影を潜め、次々と卒業ソングが生まれ、実にバラエティです。
自分達の心情にあった歌を歌いたいのか、定番ソングは人気がなくなりました。
しかし、過去から現在まで歌われている定番ソングは、卒業式で歌ってこその意味のあるものです。
みんなが知っていてなおかつ卒業生の心情をあらわす歌は定番がもっともふさわしいでしょう。
なぜこの定番ソングがいいのかを教師の立場から考えてみました。
卒業式の歌は定番の歌を勧めるわけ
卒業式に卒業生が歌う歌は、昔に比べてびっくりするくらい様々な歌が歌われるようになりました。
私も以前は毎年同じを歌を聞いていましたし、自分が担任した子どもたちも同じ歌を歌って涙を流し、卒業していきました。
ところが、いつのころからか、いろいろな歌が歌われるようになり、気がつけば毎年違う歌を聴いているような気がします。
確かに、卒業していく子どもたちの心情に合っている歌はありますが、聴いていいなあと思うものと、歌っていいなあと思うものは違います。
歌手が歌っているものを合唱でみんなで歌ってもそれはその歌ですが、何もそこで歌わなくてもいいのではと思うことはあります。
卒業式は合唱発表会ではない?
卒業式でなぜ歌うのか?
それは
ただ何となくいいとか、歌いたいという単純な理由も間違いではないでしょうが、卒業式で歌うということは、やはり自分たち卒業生が父母・教師・地域の方々に向けて歌うものです。
それならば、その方々に向けて、感謝の気持ちを伝えるという意味合いがあると思っています。
毎年、その歌を歌うことで卒業していくという形でいいと思います。毎年、子どもの意向で新たな歌を歌うなんてことは必要ないと思います。まあこれは、あくまで個人の見解です。
卒業式合唱曲選びは教師の働き方改革の一つ
ただでさえ指導時間がなくて急ぎ足で教えていることを思えば、定番の歌で十分です。音楽の先生も毎年同じ歌なら新たな指導をしなくても済みますし、学年末の忙しいときに負担を多くする必要はないでしょう。
子供たちも全員が音楽が得意ではありません。毎年同じ歌なら聞き慣れていますし、練習もスムーズに進むでしょう。その歌を歌うことが卒業の証と理解していけばいいのです。
毎年卒業式の歌を変えているから、子供たちも変えてもいいと思ってしまうのです。ある年から、本校の卒業式の歌はこれと決めてしまうことは問題ではありません。
保護者も子供たちも意見を求められたら、変える変えないの話にはなりますが、定番の歌は卒業式の歌として問題ないのですから、変える理由はないのです。
卒業生だけが歌える歌がある それが定番ソング
卒業式の歌は卒業生だから歌える歌です。もちろん、歌うことに制限のある歌などありませんが、その時にしか歌えない歌というものはあるでしょう。
儀式の歌とはそういうものです。卒業式にも当てはまる歌は数多くありますが、歌い次がれていく歌はやはり卒業式にふさわしいということではないでしょうか。
定番の歌を歌えるのは、卒業の時だけです。俺も歌ったなあ、私も…となる歌は、卒業生だから歌えたということです。
節目を飾る瞬間に歌う歌というものがあるのならば、それは大事にしたいと思いませんか。
卒業式の定番ソングは、そんな歌として価値のある一曲だと思います。
知っている歌を聞きたい 歌い継がれる定番ソング
卒業式はみんなで盛り上げるものです。多くの方々に祝福されて旅立つ瞬間です。
在校生も親も地域の方々もみんなで卒業生を見守ります。卒業生の言葉は卒業式の歌に込められます。
そんな思いを一つの歌にのせるわけです。その歌は知らない歌よりも知っている歌の方が伝わりやすいでしょう。
同じ歌でも歌う人たちによって伝わり方は異なります。その年の卒業生の思いがその歌に表れるから、毎年同じ歌でも同じではないのです。
定番ソングは卒業の思いを伝えられるのです。なんだか知らない歌を歌って、一人相撲になってしまうと残念です。
小学校の卒業式定番の曲はこの4つ
卒業式の定番の歌は多くはありません。定番が数多くあったら、定番にはなりませんし、いいものはそれほど多くないのが選ばれた証でしょう。
以下、4曲を卒業式の定番の歌として紹介します。もう言わずと知れた曲ですが、この4曲は、新旧ありますが小中学生にはまだまだ巣立ちといっても親のお世話になって生きていくのですから、別れ行く人への感謝を歌に込めてほしいという観点で選びました。
巣立ちの歌
昭和の時代から平成になる時代の前後に小学校の卒業式の定番ソングとして歌われてきた。それまでのあおげば尊しに代わり、分かりやすい歌詞とともに、小学校時代を思い返すような情景が歌う子どもに感動を与えてきた。平成の後半から新たな卒業式ソングが現れ、巣立ちの歌は歌われなくなったことが残念である。
旅立ちの日に
埼玉の中学校教師が作詞作曲した曲である。中学校がいわゆる校内暴力などで荒れていた時代である。苦労しながらも建て直し子どもたちとともに歩んだ教師の生徒への愛が生んだ一曲だと思う。卒業式に歌われ、徐々に全国に広まっていった。この曲誕生のエピソードは有名である。
秩父市立影森中学校の校長だった小嶋は当時、荒れていた学校を矯正するため「歌声の響く学校」にすることを目指し、合唱の機会を増やした。最初こそ生徒は抵抗したが、音楽科教諭の坂本と共に粘り強く努力を続けた結果、歌う楽しさによって学校は明るくなった。
「歌声の響く学校」を目指して3年目の1991年2月下旬、坂本は「歌声の響く学校」の集大成として、「卒業する生徒たちのために、何か記念になる、世界にひとつしかないものを残したい‼︎」との思いから、作詞を小嶋に依頼した。その時は「私にはそんなセンスはないから」と断られたが、翌日、坂本のデスクに書き上げられた詞が置かれていた。その詞を見た坂本は、なんて素適な言葉が散りばめられているんだと感激した、とラジオ番組への手紙で当時を振り返っている。その後、授業の空き時間に早速ひとり音楽室にこもり、楽曲制作に取り組むと、旋律が湧き出るように思い浮かび、実際の楽曲制作に要した時間は15分程度だったという。
出来上がった曲は、「3年生を送る会」で教職員たちから卒業生に向けてサプライズとして歌われた。この年度をもって小嶋は41年に及ぶ教師生活の定年を迎えて退職したため、小嶋が披露したのはこれが最初で最後となった。元々はこの1度きりのため作られたはずであったが、その翌年からは生徒たちが歌うようになった。
引用:ウィキペデア「旅立ちの日に」より
仰げば尊し
昭和世代はこの歌こそが卒業ソングであった。教師への恩など今の時代はなくなりつつあるが、歌詞の中に恩師への感謝があらわれている、学校で学び、経験を重ね教育課程を修了するときに一番感謝しなければならないのが、もっとも世話になった教師であることは間違いない。教師の立場で言うのは恐れ多いが、忘れてはいけない事実であろう。まさに卒業生が歌うための歌と言える。
最後のチャイム
2003年に発表された卒業式ソングである。歌詞からもわかるように小学校の卒業式に歌われることを前提に作られた歌であろう。
感謝の言葉のようなものは歌詞には出て来ない。子どもたちの6年間の思い出を振り返るにふさわしい場面が歌われている。とてもきれいなメロディで歌いやすい歌になっている。最近の小学校6年間も決していい思い出ばかりではない。卒業というものを初めて経験する子どもたちにその節目を感じさせる歌であろう。
まとめ 定番の卒業式の歌は感謝の歌
教師の受難時代である。教師の恩というものがなくなってきています。もちろん、教師の質ということも考えないといけない不祥事が続いています。
しかし、学校では子どもの教育に自分を犠牲にしてまで日夜一生懸命に働く先生方が数限りなくいます。
担任の先生が最も印象に残るものですが、学校生活を陰で支えてくださった先生方はたくさんいます。その先生方のおかげで卒業できることを忘れてはいけないと思います。
確かに卒業まで大変な日々を送ってきた子どもたちもたくさんいます。先生が不信感を与えてしまった子どもたちも少なくないでしょう。教師への恩などあるわけないと言われても仕方のない教育界でもあります。
けれど、卒業式の日に向けて、子どもたちの将来を願わない先生はいません。卒業の佳き日に互いに心通じる別れを願ってやみません。
卒業式の卒業生の歌は、学校生活を振り返るとともに、卒業できる喜びに満ちていてほしいともいますが、それと同時にその喜びを感謝する歌であってほしいと思います。
卒業式の歌は、歌い継がれてきた定番の歌があります。その定番の歌はどうして定番なのか?それは感謝の歌だからです。
この4つの卒業式の歌をおすすめします。
- 巣立ちの歌
- 仰げば尊し
- 旅立ちの日に
- 最後のチャイム
人は感謝することで幸せになれるのだと思います。
ぜひ卒業生の皆さんには、これらの卒業式の歌を歌って、卒業してほしいと思っています。
小学校卒業式の歌合唱曲は定番ソングで!この4曲がおすすめです‼のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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