教師の毎日は多忙ですが、授業が忙しいということではなくとにかく時間が足りません。それは、多くのことを学校現場が抱えすぎていることにあります。
しかし、これがなかなか解消されません。働き方改革と言ってもそんなに仕事のスタイルが変わってはいませんし、相変わらず一切のゆとりもないくらいの毎日を送っておられることでしょう。
これでは教師は疲弊するばかり。疲弊した教師に教えてもらって子どもたちは幸せになれるのでしょうか。
教師の仕事に限らず、仕事は重要度と緊急度で分類できます。この仕事をどう分けて取り組むかで人生すらも変わってくるくらい大事です。
教師の仕事を4つに分けて仕事に取り組めば、本来の教師の在り方がよみがえってくると思っています。
教師の仕事4つとは?
教師の仕事に限ったことではありません。この4つの仕事とは、重要度と緊急度で分類したものです。
その4つの分類が以下の通りです。
- 重要度高い+緊急度高い
- 重要度高い+緊急度低い
- 緊急度高い+重要度低い
- 緊急度低い+重要度低い
こうして、この4つの区分に仕事を振り分けてみます。
学校の先生の仕事ですから、様々ありますが一日の業務を例にとって分けてみました。
- 重要であり緊急にやらないといけないこと…
授業全般、日記の返事、宿題チェック、子どもへの現場指導(トラブル対応)、明日の授業準備 - 重要だけど緊急にやらなくてもよいこと…
学級経営の中核活動、授業研究、教材研究、子どものカルテ、日々の指導記録、子どもとともに遊ぶ、子どもの話を聞く - 緊急にやらないといけないけど、重要ではないこと…
テストの採点、アンケート調査の集計、学級会計事務、校務の書類作成、校務の当番活動、PTA関係、成績処理、通知表作成、各会議の資料作成、校務各係への協力(文書回答や提出物など) - 重要でもないし緊急でもないこと…
要録記入、締め切りのない頼まれごと、突然回ってきた調査やアンケート回答、教育委員会からのお願い
割と大雑把に分けてみました。この4つの仕事の中で、意外にも優先度の高くなる仕事があります。
それがおわかりでしょうか?
それは、重要だけれど、緊急度が高くないものです。
今すぐに必要なことではないのですが、地道に取り組むことでだんだんその成果が出てくるものです。また、教師自身の力量にも影響してくるものです。
この重要だけど、緊急でないことをどれだけ大事にして仕事できるかがとても重要です。
ついつい、緊急なことにばかりとらわれてしまうものですが、どうでもいいことを一生懸命やって成果が出ている、自分は頑張っていると勘違いしている教師の実に多いこと。
仕事に追われるようでは本当はダメなのだそうです。目の前のことをとにかくこなすだけという中に子ども対応がどれほどできているかということです。子どもは急いでいません。急がせているのは先生です。私自身もいろいろとやってきて、休む暇もないくらい頑張っていましたが、その仕事はどのくらい重要なことだったのでしょうね。
今振り返ると、仕事の仕方が大事だったことに今更ながら反省しています。
校務も大事なこととそうでないことに分かれている
学校の先生としての仕事で最も重要なことが授業です。でも、授業だけでは子どもたちの成長を支えることはできません。学校という世界は実にいろいろな課題を子どもに与えようとします。
ですから、生徒指導や児童理解も大変重要です。担任教師の言動で学級生活が良くも悪くもなるのですから、教師の資質や姿勢は仕事以上に重要な要素です。
指導の在り方を反省することやより良い方法を探ることが仕事です。これが一番大事だと思います。しかし、こうしたことに時間を確保することができず、どうでもいいことに時間をとられているのが現状です。
どうでもいいことは本当にどうでもいいのです。形だけでいいことに心を割く必要はありません。
校務という名の下で、すべてが大事にされることがないように、捨ててもいい内容の仕事はいい加減に済ませ、子どもたちの成長を支えるべきことに傾注するようにしましょう。
「緊急だけど重要ではない仕事」というものが学校には非常に多いですね。
この部類の仕事に先生たちは追われ、多忙な日々を送っています。このただ緊急なだけのどうでもいい仕事をなくすか、簡略化するかして、重要なことに時間をかけるようにすることが、学校現場の働き方改革です。
悪い例の一つですが、全国学力調査(学力テスト)ですが、これなどは愚の骨頂だと思います。
まずは、テスト対策として過去の問題を取り組ませ、いい点を取れるようにしていますが普段の授業や学習でやっていないことをテストすること自体がおかしいのです。学力テストのような内容が重要であることはわかりますが、普段の学習内容とは明らかに乖離しています。
そして、採点です。採点はそもそもやってくれるわけですから、いちいち学校内で独自にすることは必要ないはず。それを独自にすることで確かに何をだれがどう間違え、どこに課題があるのかを分析すればそれなりに課題はみえますが、そこまでする必要があるでしょうか。
とかく、何でも大事にしようとして、どうでもいい内容を価値ある事のように謳う傾向があることを先生たちは気を付けないといけないと思います。
いい人ほどいい仕事ができていない 時間を有効に使う
先生方には当然ですが、様々なタイプの先生がいらっしゃいます。
癖のある先生や協調性のない先生に傾向として多いのが、YESとNOがはっきりしていることです。
これは組織として仕事をしていく中で、時として支障になることがありますが、ちゃんと自分の判断で仕事に対する姿勢を持っていると言えます。
一方、私自身もそうでしたが、何でも受け入れてしまうタイプでした。大抵のことは受け入れてしまい、そうすることでいい仕事をしていると思っていたのでしょう。
しかし、あれもこれもと仕事を増やすことは決していい結果を生まないということです。
優先順位をつけ、計画的に仕事をすることが本当の意味でいい仕事をすることにつながるということです。
ただし、教師として向上することは大事なことなので、自分のできることしかやらないで挑戦しようとしない教師はやはりいい仕事ができるようにはならないということも忘れないでほしいことです。
何が大事で、教師としての力量を伸ばすためには努力を惜しまないということが根底にないといけない。このことは、今でもどんな仕事をしていても自分自身が向上するためには必要なことだと反省しています。
教育は教師にこころのゆとりがあること
教師の仕事は子どもの指導や支援ですが、それはどんな方法でもいいと言ってもいいでしょう。同じカリキュラムを実行していても成果は違います。もちろん、子どもたちがクラスごと少しずつ違うわけですから、成果も一律ではありません。
自己満足だけではいけませんが、どんな信念を持ち、どんな指導や実践をしているかということがその先生の価値のように思います。
自分の得意分野でもいいですし、一日のうちの何かの時間だけでもいいとかもしれません。極端に言いますと、清掃の時間に子どもの監視をするのではなく、ひたすら子どもたちと一緒に掃除に取り組むとか、お便りに毎日の子どもたちの姿や学びを紹介し、毎日発行するとか、子どもと一緒に必ず一日一度は休み時間に遊ぶとかそういうことでもいいのです。
これらのことは、すぐに結果が出ることはありません。先にお話しした「重要だけど緊急でないこと」です。でも、こうした取り組みが教育だと思います。
昔教えられた教育というものの難しさをあらわした言葉です。
教育は流れる水に筆で字を書くようなものなのだ。そのくらいの気概をもって取り組まないといけないのだ。
私の経験からも、例えば生徒指導でも教師が急を急いで解決しようとすると大抵はいい結果になりません。頭ごなしに叱ったり、子どもの様子をよく見ないで判断してしまったりと、たぶん教師の方に心のゆとりがないということが多いです。
考えてみれば、教育というものは緊急なことは一つもないはずです。
大事なことをゆとりをもって地道に取り組むということになるのでしょうね。
どうでもいいことは形だけで十分⁉
どうでもいいような雑務がありますね。アンケートに答えるとか、教育委員会からの依頼調査とか、どうして忙しい教師にこうしたことを平気でお願いしてくるのだと思いますが、そうしたことがどのくらい還元されているのか疑問です。
校務でも先生方に提出してもらう文書や反省などがありますが、そんなに力を入れるものではないと思います。それほど重要なことではないからです。
そういうことが教師の一日や一週間の仕事の中にたくさんあって、まるで事務仕事ばかりしている感じです。朝からパソコン開いてカチカチやるのは仕方がありませんが、適当にやればいいのです。
それよりも、子どもの前にいて子どもの話でも聞いてやる方がずっとましです。
但し、提出するようなものは必ず期日までに出すこと。内容なんかどうでものいいのです。出してあることが仕事を停滞させないことになります。
あなたの提出がされないために処理が進まなくて困る先生がいたとしたらそれは解消するべきことです。外部からのお願い文書ではないので、校内のやり取りは大事に済ませましょう。
教卓の上に未処理の書類をためないようにササっと書いてすぐに出すことがみんなのためです。
まとめ 教師の役割は子どものために
教師の4つの仕事についてお話させていただきました。
この4つの仕事は優先順位はあっても、それを実行するかどうかは本人次第です。
私の現職時代を振り返ると、若いころは今のような忙しさはなかったものの、子どもの活動や授業を大事にしていればよかった時代だったので、その中での忙しさはありました。けれど、充実した忙しさでしたね。
現在の忙しさは教師本来の仕事をしにくくする忙しさです。緊急だけれど重要ではない仕事はできる限り手抜きをするべきです。そして、重要な事柄に傾注するようにするべきです。
現場はそんな簡単にはできないでしょうが、先生方はとかく真面目ですから、与えられた時間を有効に使うためにも不真面目な側面も持たないとやっていかれないと思います。
教師は子どものために生きて充実するのではないでしょうか。なんだかんだ言っても、結局子どもたちが幸せを感じたり、学校生活に喜びを感じたりすることができるときに「教師をやっていてよかった」と痛感します。これがあるから教師を続けてきたのです。
そのためにも4つの仕事に分類し、優先順位をつけ、大事なことに時間をかけるスタイルに変えていきましょう。
教師の仕事4つとは?先生の仕事でしなくていい仕事とするべき仕事のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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