PTA活動を行っている全国ほとんどの学校が日本PTA全国協議会に所属しています。けれど、これらはすべて任意団体であり、学校にPTAを設置しなければいけないということではありません。
長い歴史の中でPTAが果たしてきた役割は大きいのですが、現代の少子化や社会の流れの影響を受け、その活動を支えることが難しい地区や地域も生まれてきています。
PTAを廃止することは大きな課題があり、簡単に解決できることではないと思います。
大事なことは子どものためになるのか、学校を支えることになるのか、この2つのことを達成できるのであれば、PTAという組織にこだわる必要はないでしょう。
現実的に、PTAを廃止するメリット・デメリットを考えてみました。
また、PTAへの参加として役員に選ばれることは避けて通れないことです。そのことについても触れてみました。
学校PTA廃止はどうして起こっているのか
PTAの廃止の背景には、次のようなことが考えられます。
- 夫婦共働きの家庭が多く、PTAの会合などに出席することが簡単ではなくなった
- PTAの価値観が低下して、わざわざ参加する意味が薄れている
- 親同士の横のつながりがなくなりつつある
- 学校側も多忙になり、PTAへのかかわりが以前ほど盛んではない
- 世の中が無駄を省いたり、改革を進めている中で、PTAも改善されている
このようなことが主な理由になっていますが、PTAを廃止している学校は増えていると言ってもまだ少数で、従来の形で活動している学校がほとんどです。
ただし、会合の数を減らしたり事業内容を見直したりして、かなり縮小されているのが現状です。
PTA廃止のキッカケその1 少子化の影響が大きい
少子化の影響もあります。子どもが少ないということは、家庭の数も少ないわけですから、PTAに協力する数も当然少なくなります。
都市部や人口密集地では、子どもの数も多く、学校の規模も大きいので、PTAにかかわる人が相対的に多くなります。
しかし、子どもの少ない地域では、学校にかかわる家庭の数も少ないわけですから、一人当たりのPTAへの負担は大きくなりますね。
地域によっては、子どもの数も少ないので、地区にあるPTA活動を数人の親で進めなくてならないということになります。
場合によっては、毎年何かしら役が回ってきてしまいます。子どもがたくさんいる地区は、全くかかわることのない親もいるのですから、大きな格差となっています。
また、子どもの登校を見守る街頭指導というものもありますが、これも子どもの少ない地区は同じ人が何度も当番をすることになるので、不公平感もあります。
こうしたことは、以前は何も問題になるようなことはなかったのですが、共働きの家庭がほとんどなために、生活様式に合わない活動になってきているとも言えます。
さらに、地域における親同士の関係があまり築かれていないこともその要因です。親同士があえてコミュニティを求めることが簡単でなくなっていることや隣近所や地域の大人のつながりが希薄になっていることも原因でしょう。
PTA廃止のキッカケ その2 世の中の風潮が影響している
昔に比べ、家庭の都合で地域のことを後回しにする傾向が強くなりました。
家庭は一番に大事にするが、地域のことや仕事以外のボランティアには進んで参加しない。任意ならばあえて参加しない。といった家庭や大人が多くなったと感じます。
もちろん、PTA活動が形骸化していて、例年通りのことを言われたままに進めているということが少なくなく、余計にPTA活動が敬遠されていると言えます。
親の仲がいいとPTA活動は活性化するものですが、リーダー的な親が少なくなったと思います。
以前は、リードしてくれる親がいて、みんなをまとめてくれる存在でしたが、そうした人材が少なくなり、余計なことにかかわりたくないという風潮が強くなっています。
家庭の数が少ないところに、代わりにやってくれる大人(祖父祖母が近くにいない)がいない、共働きで子どもへの世話ができにくい状況になっています。
廃止のキッカケ その3 PTA活動の形骸化
PTAの活動自体はいいことをやっていると思う人が多いと思います。子どものためになることをやっているのですから、無駄ではないはずです。しかし、問題は役員の活動なのです。つまり、活動を進める役目の親がその役をできない傾向になっているのです。
それは、お仕事をしているからですね。一日中勤務しているのですから、ボランティア活動にはなかなか関われません。
役をやりたくないけどやる以上は問題なく文句の出ないように例年同様な活動をして、無難に事をすます傾向がありますね。
それはそれで大事なことですが、よく考えると何とか改善できないのかなと思いますが、親もそうした余裕がないので、力を注げないということになるのでしょう。
結局、活動自体が形だけのものになりやすいわけです。
学校PTAを廃止するメリット
一番のメリットは、本当に必要なことを有志がボランティア活動として、まかなってくれるので、できないことはやらなくていい代わりに、できそうなことをやる気のある人がやってくれることになります。
そもそも、PTA活動を廃止するのですから、それに代わるものをつくる必要はありません。
課題が出てくれば、関係する人(親や先生)が相談して解決していけばいいのです。
従来は、その窓口としてPTAがありますが、それがないわけですから自分たちで考えて行動することが大事になってきます。
地域のコミュニティが必要なのは、人は協力して自分たちの生活の場を築いていく必要が出てくるからです。
学校も先生だけで教育できるわけではなく、親の協力が必要です。その協力というものをどういう形で実現していくことができるのかを親が主体的にできるようになるといいと思います。
単純になくなってプラスになることは、
- PTAへの強制的な参加なくなること
- PTA新聞などの形だけの発行もなくなる
- PTA活動がなくなるので、会長や役員も基本的に必要なくなる
- PTA活動費の徴収がなくなる
- もしも何か活動が生まれてもあくまで有志の活動となる
- 学校職員もPTA関係の仕事がなくなり負担が減る
廃止する以上、すべてのかかわりは親や先生方の主体性に任されるわけですから、自分たちで責任を持ちながら行動していく前向きな取り組みなるでしょう。
学校PTAを廃止するデメリット
デメリットは今までの活動や成果を考えれば、親のかかわりをどうしていくのかということが問題になるでしょう。
安全を見守ることや学校との関係作りができなくなる可能性があります。
子どもを支えることが間接的にできていたことがまったくなくなるわけですから、学校側がほぼ主になって、提案したり、協議の場をつくったりすることになります。
参観日の後の懇談会も先生が進めればいいことですが、親からの提案で何かを話し合うこともなくなり、親同士が関係性を築く必要がなくなるということです。
たくさんのデメリットが考えられますが、廃止をする意向が強いのであれば、デメリットは次のようなものだけでしょう。
- 子どもの安全を守る交通当番は誰がやってくれるのか。ボランティアになる可能性あり
- 学校の行事に関係する協力はほぼボランティアとなり、学校職員の負担は大きくなる
- 何か学校で問題が発生した時の連絡調整や体制づくりが課題となる
- 親同士のかかわりづくりを進めていくことがほとんどなくなる
- 誰かが学校とのパイプ役になる必要が出てくるが、あくまで有志ということになる
以上なようなことが主なデメリットになりますが、従来のことをやらなくても教育活動への大きな支障にはならないでしょう。
ですから、これらのデメリットは従来の活動をなくしても大丈夫ということになりますから、ほぼ教育活動への支障はないと言えます。
PTA活動はあくまで子どもたちの成長や安全を支えるという観点で活動してきています。そこに親同士の学びの場として位置づいていましたが、PTAという形にしなくても、それに代わる取り組みはできるのが今の時代だと思います。
しかし、PTA活動を半ば強制的に大事にしている多くの地域や学校では、誰かのおかげで活動ができるわけですから、その恩恵がなくなるというのが一番のデメリットでしょう。
PTAの役員をやるべきか断るべきか
地域や学校によって、その活動や内容も異なりますが、役員はやってみないとその大変さやよさは分かりません。
一緒に活動するメンバーによっても、雰囲気は異なります。
ですから、その時のその人たちの構成で苦労もよさも違うでしょうが、やってみないとわかりません。
経験した方のほとんどは、やった人しかわからないけれど、知らない人とも知り合いになれることや活動を通じて他のことを教えられたり、学んだりして自分自身の成長にはなると思います。
仕事をしながらのボランティアは本当にやりたくないですし、自分だけが不公平感を味わう感じを持たれるでしょうが、そんなことはありません。
役員をするかどうか迷ったら、次のように考えてみてください。
役員をすることは人よりも余計なことをすることになりますが、誰かのためになります。
楽な道を選ぶか、大変なほうを選ぶか、成長するためには大変なほうを選んだほうがいい。
人生に成功している人たちのほとんどは、楽な道を選んでいないということです。
人生はいろいろなことがあったほうがいいです。ですから、役員になることもよい選択だと思います。
まとめ PTA廃止も継続も大事なことは本当に必要なことをやろう
コロナの影響で今年度は、PTA活動の中止や縮小などを行った学校や地域が多いと聞いています。
私の住む地方でも、学校のPTA活動ほぼ中止し、学校での懇談会などの運営も同時に中止されている状況です。
そんな中で今まで行われてきた活動が本当に必要なのかどうかも取り沙汰されています。
会合などもメールでの連絡で十分に済ますことができ、仕事を調整しながら出席していた会議もなければないで特に問題になりません。
形骸化してきたものを切り捨てることができない組織のマイナス面がPTAにもあるでしょう。
もちろん、地域によっては活性化しているPTA活動も多くあるわけですから、一概にどれも同じではありません。
廃止してみてダメなら、また復活すればいいことです。ないことやあることにこだわることなく、地域の実情に合わせ、その当事者が考えて改善していけばいいのではないでしょうか。
小学校PTA廃止のメリット・デメリットと役員はやるべきか断るべきか⁉のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
私は小学校副会長をしています。
推薦委員が押しかけ頭をさげられ仕方無しに引き受けました。今年も推薦委員をクジで決め、来年同じ思いをする双方のメリットが見当たりません。
お金を得て仕事してする訳でなく、一日おきに学校に足を運び、保護者のクレームを聞き、コロナだから楽してるからもう一年役すればいいのにと言われたり、引き継ぎだけのノルマをこなして新しい事提案する気力も湧かない多忙振りにこのまま来年度同じことを繰り返していいのかと今役員で話し合いしています。
私達の代で廃止すると思います。エネルギーいりますが、負の連鎖は断ち切りたいです。
コメントいただきありがとうございます。
コロナ禍がきっかけにはなるかもしれませんが、PTA活動の改善は昨今の課題です。
それが改善になりにくいのは、任期が一年交代制ということもあります。
竹田様の感じられたことは、今までの役員の方々も同じように感じ、仕方なく我慢してきたことと思います。
役員で話し合われているということは、機が熟してきたということではないでしょうか。
最近、聞いた受け売りですが、私はこの言葉を聞いて、前進することは大事なことだと思いました。
「何もしないで無難に生きるよりも、難があるから有難い。」
PTA役員本当にお疲れ様です。
誰かがやらなければならないことですが、はじめの一歩ですね。ご活躍をお祈り申し上げます。