卒業式は忙しい日程でもあります。そんな中でいかに最後のメッセージを伝えるか。卒業式はどんな子どもにとっても晴れやかで喜びに満ちた一日です。
教師としても子どもたちや保護者からの言葉や姿でいわゆる教師冥利に尽きるそんな瞬間を感じる日でもあります。
この時にしか与えることができない感動を大事にしましょう。卒業式はそれぞれたった一回です。そして、その一日で教師がやってきた答えが出る時でもあります。
そんな感動な一日を担任教師が心を込めた一言のメッセージを。子どもたちに感謝の思いを伝えることができる方法を紹介します。
卒業式は教師の成果がこの一日で決まる
小学校でも中学校でも卒業学年学級を担任すれば、この最後の一日がどれほど感慨深いかご存知のことでしょう。
学校生活6年間や3年間で多くの先生方にご指導いただいて卒業していくのですが、卒業時の担任がその年月の様々なご苦労を知ることもなく(もちろん大変なことは十分に承知していますが)一番感謝されてしまうのは本当に恐れ多いことです。
しかしながら、指導はいつも成功するわけではないので、すべての子どもたちに感謝されるということではないと思います。
でも、この子どもたちの巣立ちの日に花を添えることができるのも最後を受け持つ担任の役目だと思います。
どんな指導をして、どれほど成長させることができたのかはそう簡単には姿には表れないのが教育です。
しかし、この最後の日に子どもたちがどんな姿を担任に見せてくれるか、その姿で担任がしてきたことの成果がそこに見られるのではないかと思っています。
もちろん、担任としてその苦労や反省を思い、こみ上げるものはあります。それさえも子どもたちに見せることができる担任の思いでもあると思っています。
この多感な子どもたちに自分はどれほどの成長を支えることができたのか、本当に感謝されるのかなんてことは、子どもたちの見せる笑顔、泣き顔、言葉に込められているのです。
この最後の日のために、私はこんなことをしてきました。紹介します。
卒業する子どもたちに伝えること
卒業式は子どもたちが一年間の集大成として卒業するという大きな節目です。学校行事で最も大事な行事です。
その行事は儀式的なことが多く、子どもたちも緊張の中にいます。
最後の日であるけれど、授業をする時間などないし、ゆっくり話す時間もありません。どんなメッセージを伝えることできるか、それは最後の授業でもありますね。
そこで、私は子どもたち一人一人に一言手紙を渡すことにしてきました。
手紙といっても、はがき程度の大きさの紙に10行ほどの手紙です。最後にその子に伝えたいことを書いてきました。
子どもたちに読ませる手紙を書く
書く内容はまず正直なことを素直に書くこと。そして、ほめることです。話しかけるように書くほうがいいでしょう。手紙のように書くことができれば十分かと思います。
普通サイズの封筒はポケットには入らないので名刺サイズのカード封筒が売られています。10枚入りなどのものがありますので、費用もあまりかかりません。
この時期は、卒業の準備もさることながら、進学書類の作成や成績処理でとても忙しいので、こんな手紙なんてとお思いでしょう。
しかし、この一言メッセージ作成が一番大事なものであるという捉えが必要です。
進学関係や成績処理はさっさとやることです。こういった関係の書類は確かに重要ですが、ものすごく重要ではないのです。
一か月前からちょっとずつ一日一人ずつ書いてみるのもやり方です。本当ならば、手書きが一番いいのですが、文章の最後に自筆で名前を入れるといいですね。
卒業式の直前に渡し読ませることが大事
この手紙の渡し方が大事なポイントです。
まず、一人一人に手紙を書いてくることを前日に子どもたちに話します。
渡すことを言わないほうがサプライズでいいのかもしれませんが、あらかじめ伝えておくと子どもたちは期待します。
卒業式の当日は何かトラブルがあってはいけません。そういう意味でも知らせておくことがミスを防ぐことになります。
きちんとして安定している学級であれば、知らせずにサプライズもできると思います。
そして、渡し方は次のようにします。
- 卒業式当日のホームルーム(朝の学級の時間)です。朝の学級指導の時間です。これから、卒業式に行く前の教室です。
- そこで一斉に読ませます。ここで工夫があります。
- 机の天板の裏に軽く貼り付けておくか机の奥に隠しておくのです。
- いちいち一人一人に配っていたら、時間がないのでこれがいいと思います。
- 「みんな一人一人に手紙を書いてきた。机の中に入れてあるから、今すぐ読んでくれ。」と話すのです。
- 子どもたちはちょっとびっくりしながら、自分の手紙を見つけ、黙って読み始めます。その様子を静かに見ているだけでいいです。
- 読み終わるころにはその手紙をポケットに入れるように指示します。机の中に置いていく子がいますからね。
- この手紙でウルっと来ている子もいますね。この手紙メッセージで最後に何を言いたいのかを伝えるのです。そして、卒業式に臨んでもらいたいのです。
ちょっと傲慢かもしれませんが、子どもたち一人一人に思いを伝え、これからいよいよ卒業だぞという暗示させるのです。
卒業式の感動は卒業の雰囲気づくりが大事
卒業式は一日ですが、その感動の瞬間のためにずっと前から、教室でも雰囲気を作っていきます。
カウントダウンカレンダーを子どもたちに作らせ日めくりしていきます。
卒業式の日までに思い出作りをします。お楽しみ会やら謝恩会やら確かに子どもたちの気のゆるみが出てきて、生徒指導上も気が抜けないのですが。
それはそれで、卒業式が近づいてきたことを毎日のように担任から話題をあげていくことで卒業=別れという現実を子どもたちに与えていくことも必要です。
学習の修了が近づいてきて忙しいのですが、子どもたちは教師と同じように忙しいなんて思いません。気が抜けるばかりです。
そのまま放っておいたら、チャラチャラした気分で卒業式になってしまいます。
いかに厳粛に大事にさせるかは、教師の指導計画によって決まってきます。
卒業式の式練習、児童会生徒会の引継ぎ、その他の引継ぎ、校舎の清掃活動、思い出のアルバムや卒業文集づくり、謝恩会などどれも卒業のための活動です。
これらを丁寧にやることで子どもたちはこの時期を大事にして、最後の時を大事にするようになります。
教師が何を大事にしているかを自らの姿勢で示していくのです。教師が一生懸命にやっていると子どもたちも気が付くのです。
卒業式を大事にしているかどうかは担任教師の見せる姿です。それが一番大事です。
まとめ 卒業式は感謝の心で
卒業式の感動を演出するためにというよりも、子どもたちに最後に伝えたい思いを手紙メッセージに託してみるということです。
もう一度、この卒業式の手紙渡しについてまとめます。
- 一言メッセージは素直に伝えたいことを書くこと、励ましの手紙であること
- 卒業式の直前に読んでもらう
- 卒業式はその日までの雰囲気づくりを大事にすること
子どもたちは、教師の言葉と存在に影響を受けます。それだけ、教師の言葉は大事なものです。
卒業のときに、どんな言葉をかけることができるのか、本当にそれは簡単なことでないと思います。
しかし、本気になって向き合ってきたならば、自然と出てくる言葉があるでしょう。それが教師の言葉ではないかと思うのです。
教師は子どもたちに2年から3年指導するだけです。親から見たら、わずかな期間の指導で悪い言い方をすれば、無責任かもしれません。
しかし、本気で向き合って指導してきたなら、一生涯その子の「せんせい」として存在し続けるのです。
そんな子どもたちに最後に教師として感謝の気持ちを伝えることになる励ましの一言を送れたら、幸せです。
卒業式担任ホームルームでやること!先生からの手紙とは⁉のお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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