信州大学農学部(南箕輪村)は3日、アニマルウェルフェア(AW、動物福祉)に配慮して同学部内の施設で飼育したニワトリを食肉にして販売を始めた。照明や密度などの飼育環境を整え、健康的に育つように管理した養鶏。同学部内の生産品直売所で取り扱っている。
引用:日本農業新聞
このニュースは、鶏の肉がおいしいとか安全ということではなく、私たち人間が食というものをどんなふうに大事にしていくかという問題だとも思います。
このニュースで取り上げられている鶏肉は、この信州大学農学部に行かないと購入できないようです。
通信販売も今はしていないようです。大学の生協で購入できるだけでしょう。
この鶏肉がおいしいということなのではなく、飼育の仕方が重要ということなのです。それは、飼育する動物の命というものを大事にしようということなのです。
先ごろになってあらためて注目されたアニマルウェルフェアですが、一般的にあまり知られていないのも事実です。
食に神経質な方ならばもしかしたらご存じという感じの内容でしょうか。
- 日本の鶏の飼育(卵や鶏肉を生産している畜産農家がほとんど)は狭いゲージに鶏を入れて育てて卵を産ませたり、育った鶏を出荷したりしている。
- 卵や肉を得るために場所を極力少なくし、鶏の数を大量にすることができる非常に合理的な飼育方法。
- この方法や環境で育てるには、多くの薬剤や合成された餌を使用するわけで卵を産ませるだけとか、肉がたくさん取れることだけに特化された飼育方法といえる。動物の愛護から考えると、動物虐待といってもいい状態であり、それを解消しようとするもの。世界的な動きが進んでおり、日本の飼育方法は改善が必至ということ。
狭いゲージに閉じ込められて飼育されることを想像してみてください。
ヒヨコがかわいいという人はたくさんいますが、そのヒヨコがある程度大きくなったらそのゲージに入れられて、そこで一生を終えるのです。
こんな環境で育てられた鶏は歩くことはほぼありませんから、骨がもろく、自分の体重を支え切れずに折れてしまうことあるようです。
そんな異常な育て方をされた鶏の肉を私たちはおいしいと言って食べているのです。
某有名店のフライドチキンもこの鶏の肉が使用されているといっていいのではないかと。
日本の鶏肉や鶏卵のほとんどがこの環境で飼育されたものから出荷されているわけです。全体の92%だそうです。
日本の肉だからと安心される国内産といっても、この環境の生産物なのです。
スーパーの肉コーナーの肉は何の問題もないですし、私たちの体に害はないでしょう。しかし、食は命をいただくものです。
いただきますの意味は、その命をいただくということだったわけですよね。
人間は自分たちの食を満足させたり安定させたりするために、命を命を思わないような行為をして、自分たちの欲求を満たしているということでしょうか。
本当にこれは考えないといけないことです。
そんな食を考える上での、大事な映像を紹介します。
「いのちの食べ方」
「ありあまるごちそう」
この2つです。
このキーワードで検索してみてください。
DVDになっているので、レンタルするなどしてぜひ一度ご覧になってください。
内容的には、食糧問題としての食品ロスのことが取り上げられていたり、自分たちの食べている食料の姿を知ることができますが、かなりショッキングな内容です。
鶏の飼育の様子もでてきます。食の大量生産の問題がその根幹にあることは言うまでもありません。
それはそもそも家庭の食に対するありかたが引き起こしている実に身近な問題ということに気づくと思います。
日本の鶏卵業に大きな改善を求めることになると、その影響を受ける鶏卵業者は大変なコストを負わないといけなくなるわけで、それを何とか現状を維持したいがために政治家を動かすわけです。
政治家や企業がその利権を振りかざして、正しいことをさせないのが現状なのです。
先ごろの農水省大臣の問題もこの構図でしょう。
しかし、家庭の食の在り方を変えてきたのは、まぎれもなく私たち一人ひとりであり、いつでも食べたいとか、安く食べたいとかの要求に企業が答えてきた結果、食糧問題が様々おきているのです。
日本だけの問題ではなく、世界的な人口増加や食料不足がその理由でもあります。直ちにこれらの問題が解消していくには相当な時間と意識の変革が必要です。
でも、信州大学農学部のように、だれかがどこかで取り組んでいかない限り、物事は前に進みません。
食糧問題は様々ありますが、家庭でもできる食品の選び方や買い方、食品ロスの軽減などを大事にして生活していきたいものです。
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