4月の新たな学級からの教師と保護者の関係づくりは、お互いに緊張感や期待感があるので、慎重になりますね。
でも、慎重になりすぎて遠慮してしまうことも多いでしょう。遠慮していてはよりよい関係は築けません。
これは教師と保護者に限ったことではないですね。
人間関係はいいことばかりが続いていけばよい関係が築かれるということではなくて、気まずさや不信感もありながらも相手のことをよく理解できるようになっていきます。
そうしたことの中でよりよい関係が生まれてくると思いますね。
教師と保護者の関係づくりは、お互いの思いやりと思います。思いやりは行動に示すこと。
よりよい関係づくりの機会(チャンス)にどう行動するかについてまとめました。
私自身の反省も込めながら、よりよい関係づくりのための10の思いやりについて紹介したいと思います。
教師と保護者のよりよい関係づくりはいつからでもできる
保護者と教師の関係を築くには、はじめての学級でも、問題があって課題がある状況での関係づくりでも、タイミングを待つのではなく、何かしらのモーションを継続していくことがとても大事なことです。
もちろん、そのための準備や心がけをすることは言うまでもありません。
教師と保護者は毎日会っているというわけではないので、授業参観とか家庭訪問とか、何か用があってお会いするとか、そういう場面でどんな態度や姿勢で接するかということは特に大事です。
また、会うことなく関係を作っていくのであれば、それはいわゆる文書で伝えるということですね。
保護者としてみれば、連絡帳やお手紙です。
教師にしてみれば、学級だよりや連絡帳などがあります。最近ではメールもありますが、メールできる関係ならばかなり状況は良好ということです。
今度会う時にとか、何か用事で電話するときとか、そんな場面は必ずありますね。その機会を大事にしましょう。
大事にしない人には、与えられた機会を使わないのですから結果はどうでもいいということです。何もしないのですから結果に表れることありませんね。
機会は誰にでもやってきます。家庭訪問、PTAの会合、懇談会、電話連絡、欠席連絡等、よい関係を作ろうとか話を聞こう、話をしようという姿勢でその場にいるかどうかです。
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- いい関係をつくるチャンスはいつでもある。思い立ったが吉日です
(思いやりその1)
この気遣いというかその思いがあるかどうかは大事なのですが、具体的な行動はいつでも起こせます。
反対に問題を訴えることもいつでもしているでしょう。してはいけない時期なんてものは存在しないでしょう。
それと同様です。いいことも悪いことも、そうでないささやかなことも、それを伝えて互いに理解し合えることに時期は関係ありません。
教師と保護者のよりよい関係は思っているだけでは伝わらない
人間関係づくりというとそう簡単にできるものではないと思いますね。ましてや、教師という保護者というお互いに立場の違う者同士が互いを信頼し合うという関係づくりは何もないのに生まれることはないですね。
どちらかというと子どもの成長を支えてくれる存在とその評価の上に保護者と教師の信頼関係は築かれるものです。
しかし、単にこの形だけで信頼が得られるのではなくて、様々な姿や行為があって人と人の関係が深まっていきます。
それは伝えるという行為です。
思いを伝えるために言葉があるように、思いや気持ちは態度や言葉となって表れ伝わります。
思いや考えは伝えようとしなければ相手には伝わりません。言葉に発するとか行動に移すとか、そうした行為がないのであれば、保護者も先生も互いに理解し合うことは難しいのです。
気持ちはあっても、伝わらなければなかったのと同じように、思いは思っていても伝わることはありませんね。
- よりよい関係を築くためには、行動に表すことが必要。黙っていても何も変わりません(思いやりその2)
行動に移すことがとても大事なことです。
教師と保護者のよりよい関係は、すぐに行動するがベスト
よりよい関係づくりのためには、関係を積極的に取らない限り生まれません。特に子どもの教育に悩んでいないし、困ってもいない今のままで十分という場合はそのままでもいいのです。
ところが、何かが起きた時の対応の仕方で信頼関係というものが下がったり上がったりするのです。
ですから、このいざという時の対応がとても大事になってきます。
例えば、子どもが学校で友だちとトラブルがあったとか、急に子どもが休むことになったとか、そんなことはいくらでもあります。
そんなときに教師としてまたは保護者としてどんなふうに行動するかを大事にしてほしいと思います。
緊急事態とまではいかなくても、トラブルがあったり、事故があったりしたときは、すぐに連絡をすることを怠ってはいけないです。
- 連絡は、明日でもいいか…と先延ばしにしない(思いやりその3)
電話はいつでもできる
何か起きた時にはまず相手に連絡をするというのがとても大事なことです。
信頼関係の一歩は、相手をささいなことでも大事にしていくことです。
教師が保護者に伝えることも、保護者が教師に伝えることもどちらかが上とか下とかいう感覚でいると、「このくらいは連絡しなくてもいいかな」という軽さが出るものです。
自分の家族とか夫婦とか、恋人など相手を大事に思う気持ちが強ければ強いほど後回しにはしないものでしょう。
そこに仕事だからという優先順位が入ってくるのは、はっきり言って家族とか恋人を大事にしていないということです。家族よりも恋人よりも仕事が優先という人は連絡はしません。
これは大事にするけど、これは大事にしなくてもいいという線引きをしている人は、ある場面では大事にされるけれど、ほかの場面では相手にされない。
ところが恋人だろうが他人だろうが大事にするべきと考えている人は誰からでも大事にされると思うのです。
ちょっと話が飛びましたが、大事にするかどうかは、たぶん「愛」でしょう。
保護者を大事に考えている、先生を大事に考えている、こうした思いはつまるところ、愛なのだと思いますね。
こうした思いは、電話しておこうというささやかな連絡意識を生みます。それは相手を大事にしている行為です。
そんなささやかな行為が相手を「大事にしてくれている」という思いにさせるのでしょう。
「明日でもいいか、今日は忙しかったからな。明日電話すればいい。そんなに大したことじゃないし。」と…こういう気持ちはよくあることですね。でも、ここでするかしないかで変わることもあるのです。
そこまで神経使わなくてもいいのじゃないの、という考えもあります。しかし、神経を使うということではなく、ただの行為なのです。
- 気持ちは伝えにくいが行為はそのまま伝わる。この大事に思う行為で相手に思いを伝えることができる(思いやりその4)
このささやかな行為が教師と保護者の関係づくりには欠かせないのです。
メールだって許されれば活用しよう
メールで簡単に連絡できる時代です。でも、教師と保護者は仕事仲間でもなく、友だちでもありません。メールというもののとらえ方が学校組織では公的な連絡手段と考えていない人も結構います。
ですから、メールでのやり取りはしないようにという組織もあるでしょう。
でも、相手の都合に合わせて連絡できる手段ですから、有効に活用できるといいですね。
- メールも使い方によっては有効に働くが、注意が必要(思いやりその5)
注意することは、前もってメールでも連絡することがあるということをお互いに了解しておくことです。
そんなメールが来ているとは思わなかったでは、意味がありません。
学校関係者は特にメールでのやり取りには消極的なので、親が教師にメールをしていくのはそれほど問題にはなりにくいのですが、教師が親の携帯にメールをするのは前もって確認しておくことが必要です。
個人的な情報として教師は親の連絡先を把握しておりますが、それがどんな方法でも使われるということは教師が誤って個人情報を拡散してしまうという可能性もあるのですから、注意しないといけないでしょう。
連絡帳はよく気を付けて書く
教師と保護者の連絡を日常的に行っているもののひとつが連絡帳です。
これは子どもも見ます。
低学年は何が書いてあるかはじめのうちは理解できませんが、中学年以上になれば、先生が書いたことや親が書いたことは理解でき、そのことについて関心を持ったり、気にしたりしてしまうこともあります。
子どもの目にふれるものについては、成長段階を考慮して教師も保護者も十分に気を付ける必要があります。
さて、この連絡帳の書き方です。
これが保護者と教師の信頼関係をよりよくするものの一つにもなります。
メールでも同じことが言えますが、書いたものは感情を表現することが難しく言葉だけが独り歩きしてしまうことがあります。
そんなつもりで書いたわけではないといっても、言葉がそういう理解をさせてしまうのですから、内容的によくないことを書かなければならない時は十分な推敲が必要です。
- 連絡帳はいいことを書く時には大いに書こう。しかし、よくないことを書く時には言葉に気をつけ、できることなら会って話す(思いやりその6)
感情に任せて書くことは負の感情があるならば、それ以上の内容として伝わってしまうことがありますので、怖いです。
先生がお返事として、連絡帳に書く時も同様です。書いたものはその言葉通りに伝わるのでどんなふうに表現すれば最も適切かを注意しましょう。
とにかく、言葉はストレートです。もちろん、言葉の裏側の意味などを想像させることはありますが、意味はいろいろにとれるということもあり、本当に難しいのです。
連絡帳で難しいことを伝えることはできるだけ避け、電話で話したり、訪問して顔を見て話をすることが最も丁寧な方法です。
昔は、対応の丁寧さとして、電話→手紙→訪問でしたが、書くことは内容が誤解されることもあり難しくなっています。
ただ、教師が保護者によいことを伝えるならば、上記の順番が当てはまります。
電話よりも手紙(連絡帳でも)はその書くための時間をわざわざ取ってくれたこと、訪問は忙しい時間をさいて来てくれた。となります。
訪問することは最高のおもいやり
教師の対応として
特に、訪問することは子どもに「先生が来てくれた」と好印象を与えることになることもあります。
もちろん、いいことで訪問することが最もいいことです。何か問題を起こして家庭訪問するのはうれしいことではないですね。
- いいことを伝えるならば、時として家庭訪問をしよう(思いやりその7)
帰り道にちょっと寄るだけでもいいのです。ただし、家庭訪問するときに打算的であってはだめです。そういうつもりは、顔に出ます。
家庭訪問しても相手の態度に期待しないことも重要な心構えです。
家庭訪問してほめるだけでいいのです。
相手がその行為を大事に受け止めてくれるかどうかは別のことなのですよ。家庭訪問はその行為をすること、相手に伝えることが重要なのです。
たぶん、本当に喜んでくれたならその場でお礼をして下さるでしょうし、場合によっては次の日の連絡帳に感謝の言葉があるでしょう。
こんなふうに家庭訪問は考えてほしいと思います。
保護者の対応として
保護者の対応としては、当然のことですが来てくれたことに感謝の言葉を忘れないことです。
どんな些細なことでも感謝されてうれしくない人はいません。保護者としてではなく、訪問してくれたことにお礼を述べることです。でも、こんなことはどの人でも当然していることですね。
心がけることは、先生に自分の子がお世話になっていることを感謝するのであれば、直接お会いするその数少ない機会を生かすべきですね。
来てくださったことを笑顔で迎えましょう。そして、玄関に出て送りましょう。関係がきちんと築けていなければなおさらのことです。
- 訪問してくれたことに必ず感謝の気持ちを示そう(思いやりその8)
その日に伝えることができないならば、次の日の連絡帳でも電話でもメールでも何でものいいので早めにお礼を表すことです。
このチャンスを生かして、相手にいい思いを与えるのであればその後の関係にプラスされます。そんなことは誰にでもあるのではなく、たまにしかないのですから、この誰でも得ることのないチャンスを大いに大事しましょう。
関係を作るのは継続することで深まりますが、一瞬のかかわりでその世界が好転することもあり得ますね。
学校の教師と保護者の関係改善にも同じことが言えると思います。
学級懇談会には出席すること
学級懇談会は保護者と教師が話し合う場ですが、保護者の皆様も仕事をして忙しい方が多く、懇談会の出席は必ずしも多くはありません。
でも、何か重要なテーマがあるとほぼ全員が出席します。ということは保護者の皆様は教師と話をしたり、保護者同士で話し合ったりすることをそれほど重視していないとも言えます。
実際、それほど親しくしていない間柄で話をするというのは、だれでも緊張しますし、できることなら遠慮したいというのが普通でしょう。
ところが、
- 懇談会は出席して情報を得るだけでなく、そこにいること自体が保護者と教師の関係改善にプラスになる(思いやりその9)
今の世の中は個人志向が強いせいか、情報があふれていても自分の知りたいことばかり注目して、関心のないことにはほとんどかかわろうとはしない傾向が強いですね。
自分の身に合わないところでも仕方がなく参加するというのがまだありましたが、今では無理して参加することが少ないですね。
ですから、懇談会も出席者が少ないのです。
参加するとか出席するとかいうものは、自分の意志です。話し合うことを盛り上げるのは保護者なのです。みんなで盛り上げるようにちゃんと出席するから盛り上がるのです。
出席するということは、盛り上げるとか話をしようとかいう態度の表れです。出席しないのはそれをしないとかしたくないというのと同じとも言えます。まあ、ちょっと語弊はありますが。
それがわからずに授業だけ見て帰ってしまう保護者の方々は最初から教師との関係をよくしていこうという姿勢にはなりにくいかもしれません。
だから、出席しない保護者は教師からこの保護者様は歩み寄ってきてはいないのだなと思われることもありえます。仕事もせっかく休んで学校に来ているのですが、懇談会は大事にしてくれてはいないという姿なんです。
みんなそれぞれに時間をやりくりして、仕事のシフトを削ってまで参加しているのですが、その方は懇談会には魅力はないということなんでしょう。
でも、懇談会は自分のためにもなる時間なんです。
授業は自分の子どもを見に来る時間。学級懇談会はみんなで子どものことを考える時間です。
保護者は懇談会は出席するものなのです。みんなのために出席する場なのです。
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学級懇談会では前もってテーマを伝える
保護者の皆様が仕事のシフトを削ってまで学校に来てくれています。その時間を無駄にしたら、その分の稼ぎを払ってくれよということです。
そのくらいに来ていただくことに価値を感じてもらうためには手立てが必要です。
教師も懇談会に出席するのは親の務めだと上から目線でいることが結構ありますね。
しかし、これでは親はこちらに目を向けてはくれません。保護者は考え方次第ではお客様です。学校に来てもらうにはそれなりのメリットがないと来ません。
学級懇談会の宣伝とともに話しやすい環境や工夫をしていかないといけないでしょう。それは一度でできることではなく、何度か試みる中でその学級の保護者に合った話題や内容を提案していかれるでしょう。
懇談会の一か月前から懇談会のテーマを学級通信でお知らせしてその準備をしておいてもらうのです。
- 学級懇談会の宣伝を一か月前からする
- 一度でなく、何度もする
- 宣伝する以上学級懇談会に本気で取り組むようになる
(思いやりその10)
これは、宣伝ですから、特に何か用意しなくても載せればいいだけです。でも、一度ではだめです。何回も載せるのです。
宣伝効果というものは、何度もすることで伝わるのです。
こういうことを宣伝することで懇談会を大事にしているなあと思わせることが出席への努力です。
家庭の役割と学校の役割
教師と保護者の関係づくりでその基本となることは、お互いの役割分担です。
学校でできることに教師は指導として取り組みますが、保護者は学校生活や学習が円滑になるようにということは考えなくても、家庭生活をきちんとさせることが役割です。
家庭の役割は家庭の外に出たらどんなふうにふるまうべきかを教えることです。他人に迷惑をかけないとか、あいさつであるとか、礼儀であるとか、みんなと生きていく中での大事な事を教える場が家庭です。
学校は学習するところです。みんなで学習する場です。そこでさらに社会性を育み、自立してもらうように支えていく場です。
家庭と学校の役割というものはきちんと分けることが難しいものでもあります。だからこそ、学校と家庭がともに双方を気遣って物事を進めていくことがどうしても必要だと思います。
そのためには教師と保護者の信頼関係が不可欠なのです。
まとめ 関係づくりは愛することと同じ
教師と保護者のよりよい関係づくりのための10の思いやりについて述べてきました。
”思いは見えないけれど、思いやりは見える” というあるCMのキャッチフレーズですが、思いはあっても行動しなけりゃ伝わることはないですね。
思いやりの行動は恐れながら「愛すること」と同じだと思います。その人を大事にするならばその人のために力を尽くすのと同じ事と思います。
そう思えるかどうかではないかと思います。そういうつもりで行動することもあり得ると思っています。
- いい関係をつくるチャンスはいつでもある。思い立ったが吉日です
- よりよい関係を築くためには、行動に表すことが必要。黙っていても何も変わりません
- 連絡は、明日でもいいか…と先延ばしにしない
- 気持ちは伝えにくいが行為はそのまま伝わる。この大事に思う行為で相手に思いを伝えることができる
- メールも使い方によっては有効に働くが、注意が必要
- 連絡帳はいいことを書く時には大いに書こう。しかし、よくないことを書く時には言葉に気をつけ、できることなら会って話す
- いいことを伝えるならば、時として家庭訪問をしよう
- 訪問してくれたことに必ず感謝の気持ちを示そう
- 懇談会は出席して情報を得るだけでなく、そこにいること自体が保護者と教師の関係改善にプラスになる
- 学級懇談会の宣伝を一か月前からする
- 一度でなく、何度もする
これらはすべて心がけではなくて、行動にしめすことです。教師と保護者がよりよい関係をつくるためにはお互いに思いが行ったり来たりしないといけません。
しかし、行動で示すことがなかなかできずに機会を逃したり、勇気が出せずにそのままでいたり、後回しになっているのが現状でしょう。
教師と保護者の関係改善やよりよい関係を築くには、勇気ある一歩が必要なのでしょうね。
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