小学校時代に宿題というものは、子どもたちを苦しめているイメージが大きいのですが、この宿題も学級や学年よってその量もまちまちです。今までの経験から考えますと、宿題の量が多い学級の方がどちらかというと成績のいい子どもが多くなる傾向です。
それは小学校の宿題は、練習に練習を重ねることで身につく内容が多いからです。この時期の子どもたちの暗記力は大人のそれをはるかに上回るのですから、どんどん覚えさせるという方法がどうしても多くなります。
小学校の宿題が多すぎるという感じを持たれるかと思いますが、これを乗り越えることで家庭学習の習慣が着実についていきます。
大変なことでも繰り返すうちに平気になってくる。この理屈です。
先生として宿題の出し方にについて、親に宿題への協力についてどう伝えていくか、大事なポイントをまとめました。
小学校の宿題が多くなる理由
小学校の宿題が多くなる理由はいくつもあります。
- 学習内容が増え、授業進度が速いため練習するような学習がしにくい
- 授業で学んだことを定着させるためには反復練習が一番
- 学習についてこれない児童が多くなった
- 担任の先生が宿題をたくさん出すタイプ
- コロナ禍で授業ができなかったつけが今も続いている
- 家庭学習の習慣が身についていない子どもが多くなっている
これらの理由がありますが、中でも最も多い理由が、学習内容が多くなっているために学校で学習したことを習熟する時間が少ないということです。
今の学校では、国語算数理科社会の主要科目以外に英語、道徳、総合的な学習(プログラミングなど)が重要な科目として位置づけられ、朝の時間に授業時間を組み入れるようなことをしないと授業時間が確保できないくらい過密状態です。
例えば、ちょっと前までは学校で授業時間に漢字練習などを行うゆとりもありましたが、そんな時間を取っていたら、学習内容を一年間で終えることはできないでしょうね。
実際に、学習内容は内容ごとに何時間授業するかを計画したカリキュラムがありますが、それもその通りにはできないこともあります。ですから、余剰時間も始めから確保されて一年間の登校日数や授業時間も決められているのですが、高学年になるほど、授業内容は多くなりますし、行事や活動も多くなるので、ほぼゆとりがない状態です。
インフルエンザなどで学級閉鎖になれば授業はストップしますから、かなり深刻ということです。
今の小学校では、一日学校休むと次の日の授業はもう先に進んでいるので、3日休むなんてことになるとえらいことです。子どもによっては、教科書を読めば理解出来ることもありますが、学習が苦手な子どもは個別に指導することになります。その時間はどこにあるのかという問題もあります。
そのくらい学習進度は早いので、どんどん新しいことを詰め込んで?いくわけですから、練習する時間なんてありません。ただ、練習しないと学習したことは定着しません。
ということで、学習したことを忘れないようにするには反復練習が必要なのですが、それが今の学校では時間がとれません。
とることはできたとしても、他の学習時間が削られるということです。土曜日の半日授業復活なんてこともまんざら不思議なことではないです。
学校で学んだことを家で復習して理解を確実にする。家庭学習がなくてはならない理由です。
小学校の宿題はほとんどやる気が出ない⁉
そもそも小学生で宿題が好きという子はいないのが普通です。学校では勉強するのが当たり前ということもありますし、みんながいるから勉強しないといけないという感じです。だれも、しなくいいなんてことは考えるはずもないです。先生もいますし。
ところが、家はそういう縛りがないので、頑張れなくなるのです。いわば、宿題は半強制的にやらないといけない、嫌だけどやらないといけないものだと言ってもいいでしょう。
ということで、小学生の宿題は子どものやる気なんて必要ないのです。やらないとできるようにはならないことがほとんどなので、やってきたことを褒めて、宿題をやることが大事であると意識させることが先決です。
宿題はやってきたことを褒めてやることで、子どもは前向きになっていきます。
やる気にはなりにくいけれど、やらないといけないというものにしていくことが学習の習慣をつくることにつながります。
小学校の宿題はできない子対策みたいなもの
小学生の学力?は大きな格差があります。
30人の子どもたちは各学級ごとに学習の理解度に応じて偏りないように学級編成されます。教科書を読んですぐに理解して頭に入ってしまうような子どもは一割いるかいないかで、そのほとんどの子どもが勉強しても忘れる子どもたちです。それが小学生の発達段階や成長過程でしょう。
ですから、小学校の勉強は何度も繰り返さないと覚えることも大変ですし、練習を繰り返さないとできるようにならないものがほとんどです。
簡単なことでも何度も練習して覚える。それが、この時期の子どもたちの勉強法だと思います。
練習すればできるようになる。できるようになると、楽しくなる。そこまで教師が引っ張らないとできるものもできなくなります。
だから、宿題についてはとにかく練習することが多くなるのは仕方のないことです。
小学校の宿題をだんだんできるようにさせる事後指導
小学生の宿題は、繰り返しの練習がほとんどですが、覚えることばかりが勉強ではありません。
調べることも、まとめることも、新たに創り出すことも、繰り返すことで勉強の仕方に慣れるというねらいがあります。
辞書で調べてくる、資料をまとめてくる、家の人などに聞いてまとめてくるなどいろいろな方法がありますが、その場に先生がいてみてくれるわけではないので、こうした宿題は学校の授業できちんとやり方を理解させたうえで取り組ませることになります。
しかしながら、はじめから全員が問題なくできるということはありませんので、これもだんだんにできるようになっていくことになるわけで、先生が一人一人の学習の成果を見て手を入れていくしかありません。
ただ繰り返せばいいのではなくて、だんだんできるようになるには先生の事後指導が大事であるということです。
やらせてもできているのかをチェックしないと子どもだけでは力はつきません。このチェックすることは教師の指導の見返しでもあり、学校の学習のほとんどは、このチェックをいかに大事にしているかにかかっています。
小学校の宿題の定番を確実に取り組ませる
以下の4つが毎日宿題として取り組ませるものです。漢字練習、計算、音読、読書の4つです。
少しずつでも毎日やることが学習習慣形成に必要です。
それでは、これら4つのそれぞれの方法についてポイントを紹介します。
漢字練習
- 漢字の使い方や短文に表すなどの練習を必ず入れる
同じ漢字を何度もべた書きすることも覚えるためには必要であると言えますが、学習障害の傾向がある子どもには適さない方法です。個別指導をして、練習方法を変えることが大事です。
漢字練習は書けるようになることに重点が置かれますが、どんな場合にその漢字を使うのか使い方もできるようにするべきです。小学校ではこれがどうしても甘くなります。
書けるけど意味をよく知らないとか、どんな時に使われるのかをさらっとしか教えません。宿題で使い方を3通り書くとか、熟語にして表すとか、そうした練習を必ずやらせましょう。
計算
- 今習っている単元の計算だけでなく、今まで学習した計算を毎日少しずつ復習する
計算は高学年になるほど多くの計算方法を学びます。でも、使っていないと処理速度が落ちます。すると、途端に勉強が大変になります。ですから、いつも練習をして、いつでもできる力を落とさないようにすることが宿題で解消できるのです。
プリントを一枚に、今まで学習した計算を2個ぐらいずつ、多くの種類を解くということです。PCでそうした計算問題設定をつくることができればいいのですが、どなたか得意な人がいればやってもらうと楽ですね。でなければ、ネット上でよく使われる、「ちびむすドリル」を使ってみてもいいでしょう。日替わりで違う計算問題ドリルに取り組ませればいいでしょう。
音読
- 正しく読む、すらすら読めることは、文章を理解できるようになる第一歩
声に出して読むことで話すことの土台の発声を鍛えることになります。読めない子どもは話すことも苦手です。声に出すことがとかく控えめな日本人には発声することを音読で誰でも取り組むことができるのですから、この音読を小学校では欠かさず取り組ませることが大事だと思います。
さらに、国語だけでなく、教科書の文章はなんでも音読の対象です。多くの文体をきちんと読めるようになると言葉をどんどん覚えていくことになります。
読書
- 学校生活で読書の時間を確保し、読書を好きになるように指導していく
読書については、自分の読みたいものを読むというのが基本ですが、学年が上がるにつれて読める本が多くなっていくのが理想です。しかし、学習が得意でない子どもほど、そうなる傾向は弱く、読書量も少ないです。ですから、本との出会わせ方も大事になります。また、多くのジャンルの本に触れることも読書量を増やすことにはなりますので、教師が読む本を紹介するだけでなく、こういうジャンルや程度の本を指定して読ませることも時には必要です。
読書は読書カードの活用と、図書館の先生との協力が欠かせないので、学校生活の中で読書の時間を毎週取ることも読書に親しむ子どもを育てるうえで重要です。
小学校の宿題は徹底した反復練習
日本の受験体制が変わらない限り、子どもたちは進学のために試験勉強をしなければなりません。
それが現実です。
結局、試験勉強は暗記がほとんどです。
その暗記を乗り越えるには、徹底した反復練習に尽きます。
反復練習の仕方も大事なポイントですが、そうした勉強は実は当たり前のように大事なことがあります。
それが家で一人で勉強できるということです。
学校や塾でやる勉強は、新たなことを知ったり、考えたりする場です。学校では特に反復練習はほとんどできません。
ですから、家で勉強するときが反復練習の場です。
この家での学習は家庭学習と言われますが、この家庭学習の習慣をつけることが、小学校時代の大きな目標です。
この小学校時代に家での勉強を一人でできるようになる子どもは、受験勉強が出来る子になります。しかし、この小学校で習慣が身に付かなかった子は、そのあと中学でも高校でもかなり苦労します。
塾に通わせても成績は上がらないことが多いです。塾に通わせて成績が上がる子は間違いなく家での勉強の時間が多いのです。塾は反復練習の場ではないからです。
家でちゃんと復習するとか確認するとか時間を勉強に当てている子は反復練習しているということです。
- 小学校時代に家庭学習の習慣をつけることが将来の受験対策に欠かせない!
ということですね。
家庭と学校のそれぞれの役割をはたす
親としてどう協力するか
小学校の時代の宿題は多い場合は問題ないと思いましょう。
ご家庭の皆さんが多すぎるかなと感じたり、子どもが苦しんでいたら、先生に相談すればいいのです。困ったら先生に相談するという姿勢を普通に考えましょう。「どうすればいいでしょうか?」という問い合わせでいいと思います。
小学校時代の宿題確実にやる習慣をつけるには、家庭生活にかかっています。
親として宿題への協力にどう対応するかについてお話します。
少なくとも、自由奔放ではなく、決められた時間に毎日同じことが繰り返される生活リズムがないと子どもの宿題などはできるようにはなりません。
自由が大事なのではなくて、型にはまった生活というものが子どもにも大人にも大事です。
子どもが宿題をするかしないかは親の姿勢でもあると思います。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、子どもが勉強しているのに親がテレビだのゲームだのに暢気にしていては子どもはヤル気がそがれます。
勉強している時間は、親は静かにしているとか親もテレビも見ないゲームもしない。読書するとか親自身も何かに静かに取り組むとか…。
環境はすごく大事です。自発的に子どもが行動できるようになるまでは、寄り添わないと子どもは一人で頑張れません。
さらに厳しいようですが、宿題をやったのかどうかを確認できる親でないと子どもは宿題をまともにやらない子どもになってしまう可能性が高い。
もちろん、幼少のころから勉強することに関心がある子どもは別ですが、そう育たなかった子どもには、親が勉強を見てやらないと後で本当に苦労します。親も子どもも。
どうして苦労するのか?それは前述したように、受験が待っているからです。
宿題をやるかやらないかは学校の先生の影響ももちろんありますが、家庭生活と学校生活は別物ですから、宿題をやらない子どもの責任は家庭にあると言えます。家庭と学校が協力することで子どもの学習は成立します。
親が子どもに嫌がられても卒業するまでは面倒をちゃんと見る、宿題をちゃんと見るという姿勢が本当に大事です。
ちなみに、家庭教師をつけても塾に行かせても、宿題をしないような子どもは、勉強をできるようにはなりません。はっきり言えることは、勉強ができるようになるには、家庭で一人で勉強できるようにならないとほぼ無理なんです。
宿題をやるということは、学習の習慣をつけることなのです。この学習習慣があるからこそ、その後の学習(中学、高校、大学など)を乗り越えることができるのです。
教師としての姿勢
教師としては、家庭で宿題のケアをしてもらえるように、家庭にお願いや働きかけをしていくことがとても大事なことです。
と同時に、共働きなどで宿題を見てやれない家庭については、学校で先生が個別に指導すればいいです。すべての子どもを同じように指導するのではなく、状況に応じて方法を変えることが教育的配慮でしょう。家庭の実情をみて、引いたり押したりです。
完全を求めていては、子どもたちも本当に苦しくなるばかりですから。考え方は正しいとしてもそれをそのまま実行するというのは現実的ではないです。
ねらいをちゃんと持ち、姿勢がぶれないことが大事です。甘やかすのではなく、ゆっくりペースも時には必要です。でも、やらせることは確実にやらせる。
教師の仕事で一番大変だと思うことは、子どもたちの状況に応じて個別に対応するということです。結局、教育は個別対応がとても大事なことだと思いますし、それが先生の役目なんだと思います。
宿題多すぎる⁉小学校宿題多いのか?宿題の出し方や親の協力についてのお話でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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